日銀が超金融緩和政策をやめるとき、阿鼻叫喚が始まる
チャイナマネーが都心の地価を押し上げた要因だった。北京オリンピック前の不動産バブルの崩壊、上海証券市場の株価崩落という2度の危機を乗り越えた中国の新興成金が、日本の不動産市場をターゲットにした。
13年9月、20年の東京オリンピック・パラリンピックの開催が決まった。ボロ儲けのチャンスと判断した中国の新興成金たちは、住むつもりのない東京湾岸エリアの超豪華マンションを次々に買い漁った。湾岸エリアのタワーマンションの“爆買い”は、13年から14年に集中した。
日本の税制では、不動産購入後5年以内に売却すると売却益に35%の税金がかかる。5年以上経過すると、売却益にかかってくる税率は21%に減額される。14ポイントも違いが出るため、彼等はこれに目をつけたといわれている。
そうだとするなら、購入から5年後に当たる18年後半から19年前半にかけてが売り時となる。チャイナマネーが利益を確定するために売却に動く時、バブル期の水準まで高騰したマンション価格は下がる可能性が高い。
最大の転換点は、日本銀行が超金融緩和政策をいつやめるかにかかっている。日銀の超金融緩和政策で、日本の不動産市場は活況を呈した。
都心の超高額な不動産の主な買い手はリート(REIT=不動産投資信託)。銀行からの低利融資を利用して買いまくった。ゼロ金利が導入され、株長者や、土地長者がその恩恵を享受した。
だが、17年からリート指数の低迷が続く。これもマンション価格の上昇が頭打ちとなる予兆と受け止められている。
地価の上昇によって、リートの利回りが下がる。購入した物件の家賃収入を主な収入源としているリートは、当然、分配金が抑えられるからだ。
日銀が超金融緩和の出口戦略について一言でも言及すれば、途端に不動産バブルは弾け、巷に阿鼻叫喚がこだますることになる。それは過去に何度も経験してきたことだ。そのため、黒田東彦日銀総裁は動けない。
(文=編集部)