首都圏の新築マンション価格の高騰が止まらない。
不動産経済研究所が1月22日に発表した2017年の首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)の新築マンション1戸当たりの平均価格は、前年より7.6%高い5908万円となった。バブル最盛期以来27年ぶりの高値水準だ。
1都3県の平均価格はバブル期の1989年や91年を上回る過去2番目の水準で、史上最高値の90年(6123万円)まで、あと215万円に迫った。1億円を超える「億ション」は1928戸で、前年の1265戸より52%も増えた。
だが、バブル期とは大きく異なる点がある。バブル期には郊外を含めあらゆる物件が急騰した。しかし今回、価格が上昇しているのは都心や主要駅の再開発地区などの物件に限られる。局地集中の“ゲリラ豪雨型”といっていいかもしれない。
価格上昇の背景には、物件の開発を担う“メジャーセブン”と呼ばれる不動産会社の存在がある。住友不動産、大京、東急不動産、東京建物、野村不動産、三井不動産レジデンシャル、三菱地所レジデンスの大手7社だ。
高級な物件を扱うメジャーセブンのシェアは、10年前の20%台から5割近くに急伸した。億ションは、05年当時は全体の1%にも満たなかった。ところが、17年は首都圏の新築マンションの発売戸数3万5898戸のうち億ションは1928戸で、5.4%に達した。
17年12月、JR目黒駅前にタワーマンション「ブリリアタワーズ目黒」(総戸数940戸)が完成した。地権者らの入居分を除く分譲戸数の半分強が1億円以上の億ションである。
東京建物、第一生命保険、大成建設と地権者らでつくる組合が主体のプロジェクト。目黒駅前の東京都交通局の営業所跡地など約2.3ヘクタールにタワーマンション2棟(地上40階建てと38階建て)とオフィス棟の計3棟を建設した。
分譲住戸661戸のうち365戸が1億円以上の物件だったが、15年7月の発売から4カ月で完売したとして話題になった。
一般の会社員は逆立ちしても億ションには手が届かない。業界関係者によると、億ションを購入するのは、株高をうまく利用して稼いだIT分野の起業家や役員たちだという。超金融緩和がもたらしたアベノミクス長者たちである。
かつて、中国人投資家による不動産の“爆買い”が話題になったが、今、中国人に目立つほどの動きはない。むしろ、彼等は投資を回収する時期を推し量っているのではないかとみられている。