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しかし、介護報酬引き下げなど、介護事業の見通しも決して明るくはない。「老人福祉・介護事業」の17年の倒産は111件(前年比2.7%増、前年は108件)で、介護保険法が施行された00年以降で最多を記録した(東京商工リサーチ調べ)。
この背景には、安易な起業や本業不振のために異業種から参入するなど、事前準備や事業計画が甘い小・零細業者の存在がある。当初の思惑通りに業績を上げられず、経営に行き詰まったケースが多いとみられる。
もうひとつの飲食業も、市場は競争が激しいレッドオーシャンだ。飲食業については、かねて「参入は比較的容易だが、生き残ることが難しい業界」といわれる。17年の「飲食業」の倒産は766件で前年比19.8%増(東京商工リサーチ調べ)。異業種に活路を見いだそうとする大手パチンコホールも、安泰ではないだろう。
パチンコ業界を襲う危機は、ほかにもある。あるパチンコホールからは「来店するのは高齢者が多く、このまま高齢化が進めば客層も先細りしていくかもしれません。若い客層を開拓するためにアニメとのコラボも進めましたが、若者は金銭的な余裕がないようですね」と嘆く声が聞かれた。
「新規ユーザーが増える見込みはなく、個人レベルでは会社員も大学生も余裕がない時代です。メーカーの経営状況はホールよりはまだいいですが、ホール減少に伴う市場縮小がメーカーの業績にも影響を与えかねません。出玉規制によってユーザー離れの加速が懸念されるため、今後の先行きは不透明です。ただ、底はまだ先にあると見ています」(同)
大手による寡占化が進み、その大手も異業種参入で生き残りを模索する。一部のヘビーユーザーや高齢者以外の客層開拓がうまくいかず、中小は倒産予備軍となりつつある。そんななかで出玉規制の嵐に巻き込まれたパチンコ業界に未来はあるのか。注目に値するだろう。
(文=長井雄一朗/ライター)
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