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元気寿司が元気だ!突然に利益爆増で急成長開始、カギは「回転しない」方式?

文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント
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「回転しないすし」方式の導入店舗では、すしを回転レーンに流す必要がないので廃棄が少ない。そのため、元気寿司の売上原価率は低く、スシロー、くら寿司、かっぱ寿司が45〜50%程度なのに対し、元気寿司は40%程度となっている。ほかの大手でも元気寿司のように高速レーンで届ける方式を採用しているところはあるが、導入割合の大きさでいえば元気寿司が突出している。

「回転しないすし」以外では、ほかの大手回転ずし店とさほど変わりはない。筆者の感覚でいえば、すしのおいしさは元気寿司、魚べいもほかの大手と大して変わらない。サイドメニューも同様だ。それにもかかわらず、元気寿司が競合を凌駕する増収率を実現しているのはなぜか。

 国内総店舗数が増えているためだと思いきや、実はそうではなかった。前述した通り17年4〜12月期は17.3%の増収だったが、国内総店舗数はわずか5店の純増(全体の約3%)にとどまっている。国内総店舗数の増加による業績への寄与度は小さかったといっていいだろう。

 実は、元気寿司の成長の大きな源は「海外」にある。元気寿司とより高価格帯のすしを扱う姉妹ブランドの「千両」を、香港や中国本土、ハワイを中心に展開している。17年4〜12月期は17店が純増し、同期末の海外店舗数は175店で国内(153店)よりも多い。

 営業利益の額と増収率も海外のほうが大きい。17年4〜12月期は、売上高こそ海外は国内の4分の1程度にすぎないが、営業利益は逆に海外が国内の1.3倍程度の規模となっている。対前年同期増収率は国内が14.5%だが、海外は31.1%にもなる。元気寿司の海外での強さのほどがわかるだろう。

 国内はほかの大手が幅を利かせているため元気寿司が割って入るのは難しい面があるが、海外はほとんど手つかずの状態でブルーオーシャンが広がっている。元気寿司はそこに目をつけて勢力を伸ばそうと考えたのではないか。現状、ほかの大手は海外にはほとんど進出していないため、元気寿司がトップランナーとして走ることに成功している。

 その元気寿司に、スシローと経営統合する話が持ち上がっている。17年9月29日、元気寿司の親会社でコメ卸最大手の神明が、英投資ファンドのペルミラなどからスシロー親会社のスシローグローバルホールディングス株33%を取得し、経営統合を進めると発表している。

 この経営統合はメリットだらけといえる。国内に強いスシローと海外に強い元気寿司という住み分けができているためだ。お互いが強みとする市場が異なるため、競合が少ない。今後、スシローが海外に進出するにしても、両社が共存できるほどの市場が海外には存在するし、スシローは元気寿司のノウハウを借りることができる。もちろん、両社が合わさることで規模のメリットを享受することができる。非常に強力な回転ずしグループが誕生することになるだろう。

 回転ずし業界はビッグ4に焦点が当たりがちだが、今後は、元気寿司が重要なキープレーヤーとなって存在感をより発揮してくるだろう。
(文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント)

●佐藤昌司 店舗経営コンサルタント。立教大学社会学部卒。12年間大手アパレル会社に従事。現在は株式会社クリエイションコンサルティング代表取締役社長。企業研修講師。セミナー講師。店舗型ビジネスの専門家。集客・売上拡大・人材育成のコンサルティング業務を提供。

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