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大阪、「万博&カジノ」セット構想に前のめり…「費用2千億円捻出」問題で混乱必死

文=編集部
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 万博誘致には、日本経済団体連合会(経団連)と関西経済連合会(関経連)が参加している。官民でつくる誘致委員会の会長は榊原定征経団連会長だ。

 榊原氏は「誘致に全力を尽くす」と言ってはいるが、カネの話はまったく議論されていない。その上、榊原氏は6月に経団連会長を“お役ご免”となる。すでにレームダック(死に体)状態だ。

 関西財界には、05年愛知万博におけるトヨタ自動車のような大金持ち企業がない。“サラリーマン経営者”ばかりで皆、頭を抱えている。大阪が開催地に決定したら、「誰がカネを出すのか」という問題で大混乱となるのは避けられない。

関西財界は総論賛成だが、カネの話はタブー

 京都市で開かれた第56回関西財界セミナー(関西経済連合会、関西経済同友会共催)は2月9日、「国際博覧会の2025年大阪誘致を政府や自治体と一体となって勝ち取る」ことを盛り込んだセミナー宣言を採択して閉幕した。

 関経連の松本正義会長(住友電気工業会長)は万博誘致について「関西に非常に大きなインパクトがある国家事業であり、誘致活動をやり抜かなければいけないと全員で結束できた」と胸を張ったが、総論は賛成でも各論(資金分担)になれば同床異夢なのが現実だ。

 住友電気工業には、トヨタのような資金力も財界を引っ張るリーダーシップもないことは明らかだ。

 万博開催が実現すれば、会場となる大阪湾岸の人工島、夢洲(ゆめしま)を「西日本の玄関口」と位置づけ、周辺地域と人の流れを生み出して成長につなげるべきだという、総論賛成の意見がセミナーでも相次いだが、一歩踏み込んだ発言をしたのは関西電力の香川次朗副社長くらいだ。

 その香川氏にしても、「夢洲周辺を含む広い地域の長期の全体像について共通認識を産学官で早く共有して進めるのが大事」と述べただけで、関西電力が主役を張るとは言っていない。

 アシックスの尾山基会長兼社長は「島全体を娯楽や観光の一大拠点にしてはどうか」などと、レジャー評論家のような発言をした。

 夢洲にIRを誘致する構想については、松井知事を支持する声が多かった。それでも「観光客向けの夜のショーなどを充実すれば、関西経済はさらに元気になる」といったレベルの発言ばかりだった。長期低迷している関西経済が、そんな小手先のことで元気になるとは考えがたい。

 関西経済同友会の鈴木博之代表幹事は、丸一鋼管の会長だ。その丸一鋼管は、溶接鋼管で国内首位の東証1部上場企業だが、年商は1500億円台にすぎない。大金を拠出することは難しい。

 そうなると、経団連に加盟している主要メンバーで関西以西に本社がある企業が、人もアイディアも金も出さない限り、大阪万博の先行きには乱気流が待ち受けている。
(文=編集部)

BusinessJournal編集部

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