大成建設、リニア談合「否定」で検察に徹底抗戦…社員寮に資料隠匿疑惑、競合と「勉強会」
欧米では、パーティーで競合会社に会ったら法務部にレポート
私は現役社長時代、アメリカの大手企業の日本法人社長を務めたことがあった。毎年、本社に各国の責任者が招聘されるのだが、その世界会議では数年おきに本社の企業内弁護士が演壇に立ち、アメリカの独占禁止法についてレクチャーした。それは、海外子会社の行動に対しても米国本社にペナルティが課せられるからであり、ひとたび独禁法違反が認定されると恐ろしく高額な罰金がその企業に課せられるからである。具体的には、弁護士から次のように注意された。
「パーティーで偶然、競合会社の幹部と会ったら、必ず相手の名前、肩書き、話した内容について本社の法務部にレポートすること。決して話していけないのは、当社や相手の価格やビジネス動向、自分が関与する市場の動向、将来見込みなどである」
つまり、パーティーで同業他社の名刺をもらったら、一目散に逃げろ、クビになるリスクと遭遇したと思え、ということだった。欧米の独禁法の怖さは、外国の企業、つまり日本企業にも適用されるということだ。実際に過去に北米やヨーロッパで数百億円単位の罰金を払わされた日本企業はいくつもある。そのため、国際的に展開していたり、輸出が多い日本企業のなかには、独禁法や不公正取引に対する知識や感覚を有しているところが多くなった。
しかし建設業界は国内向け事業の比重が高く、いわゆる「純ドメ(スティック)」体質が強いことから、不公正競争に対する理解が進んでいない。05年に4社が出した「談合決別宣言」はなんだったのか。まったく懲りない業界だ。
特捜部がまなじりを決して立件しようとする意気やよし、である。
(文=山田修/ビジネス評論家、経営コンサルタント)
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