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リコー、危機深まる…将来戦略なき「ひたすらリストラ」、株価はジェットコースター状態

文=真壁昭夫/法政大学大学院教授
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 しかしながら、同社の経営を見ていると、ペーパーレス化などの変化への対応がどのように進められようとしているのか、変化に対応し、成長力を高めるための戦略が見いだしづらい。依然として、リコーはオフィス、プリンティング向けの製品=ハードの販売を経営の基盤に据えている。ハード中心の発想で今後の競争に対応し、シェアを高めていくことは難しいだろう。

 今後の事務機器業界で生き残るには、アマゾンやグーグルなどが手掛けるクラウドコンピューティングサービスの普及にどう対応するかが一つのポイントとなるだろう。クラウドコンピューティングの普及によって、インテルのCPU(中央演算装置)を搭載したパソコンを用いてマイクロソフトのソフトを使う必要性すら低下している。必要なデータや情報だけでなく、その解析などに用いられるアプリケーションもネットワーク上でシェアされることが増えている。

リコーが抱える海外事業の問題

 変化に対応していくためには、個社独自の技術をベースにしながら、ネットワーク技術の開発などを進めるハイテク企業との連携を進めることが重要になるだろう。すでに、IT、自動車、金融、物流などの業界では、複数の企業が連携しオープンなかたちでのイノベーションを目指すことが増えている。オープン・イノベーションを進めるためには、国内だけでなく、世界各国の企業との連携も必要だ。そのうえで、特定の用途を念頭に置いたモノよりも、ビジネスの環境、基盤(プラットフォーム)を提供することが目指されている。世界各国の企業と連携し、必要なノウハウや技術、コンセプトを取り込もうとする考えは、事務機器業界だけでなく、ビジネス界全体で重視されるだろう。

 リコーの経営を考える上で不安なのが、海外ビジネスのリスクに対する姿勢だ。かねてより、リコーは事務機器の需要が見込める新興国でのシェアの拡大を目指してきた。1993年にはインドで販売子会社を設立し、2015年までは事業の拡大がリコーの業績を支えてきた。しかし、この子会社での不正会計が発覚して以降、インドのビジネスはリコーの業績の足かせとなっている。昨年10月、リコーはインドの子会社の再建支援を打ち切ったが、それは同社が海外ビジネスのリスクを的確にマネジメントできなかったことの現れにほかならない。

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