シェアハウス「かぼちゃの馬車」のオーナーは、破産者続出の危機に瀕している。そのため、オーナー向けの融資をほぼ独占してきたスルガ銀行の株価が、不良債権発生の懸念から大きく下落した。
かぼちゃの馬車のオーナーは、融資を受けて物件を購入し、それを一括して賃貸に出して継続的に家賃収入を得るという「サブリース」方式で運営されてきた。このサブリースというビジネスモデルは、そもそも成功する見込みが少ないと関係者は証言する。
かぼちゃの馬車は、不動産会社のスマートデイズが運営している。シェアハウスとは、主に若い人が共同で生活する賃貸住宅だ。積極的な広告宣伝戦略を立て、安い初期費用(敷金や礼金)をセールスポイントに入居者を募集する。
スマートデイズが管理する総部屋数は1万室を超えるといわれている。オーナーが銀行ローンを組んでハウスを保有し、スマートデイズが家賃を保証する仕組み。「8%」という高い投資利回りに釣られてオーナーになった人の多くは一般の会社員で、そのオーナーに融資しているのがスルガ銀行だ。
スマートデイズは「入居者の就労斡旋もしており、紹介料での収益もあるので、仮に入居率が低くてもオーナーの収入はきちんと確保される」と説明してきたという。しかし、物件の多くは立地などの魅力に欠け、入居率は5割を下回る低水準にとどまっていた。そもそも、就労斡旋がビジネスとして成り立つかどうかも不透明だった。
窮地に陥ったスマートデイズは、オーナーとの約束を反古にして、ついに今年1月に賃貸料の支払いをストップした。このため、銀行への融資の返済ができずに、破綻に追い込まれるオーナーが続出するかもしれないという事態に発展した。
かぼちゃの馬車のオーナーへの融資のほとんどを行ってきたスルガ銀行も、ダメージは避けられない。貸し倒れによる不良債権がどのくらい出るのか懸念されている。金融庁の幹部は森信親長官を筆頭に、スルガ銀行を「地方銀行の優等生」と高く評価してきた。だが、高い収益の源泉となってきた個人ローンの伸びは鈍化せざるを得なくなる。すでに株価は安値の更新が続いている。昨年来安値は3月15日の1601円で、昨年来高値の2810円(昨年7月10日)から43%も下落した。