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「高収益企業」串カツ田中、常時ドリンク半額の店舗で、そのスゴさの秘密を発見!

文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント
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「高収益企業」串カツ田中、常時ドリンク半額の店舗で、そのスゴさの秘密を発見!の画像1串カツ田中の店舗(「Wikipedia」より)

 串カツ田中は4月11日、「串カツ田中 小伝馬町研修センター店」を東京都中央区(東京メトロ日比谷線・小伝馬町駅から徒歩2分の場所)にオープンした。

 同店は従来の店舗とは大きく異なり、新人が中心となって運営する。店舗研修を行うための特別店舗だ。不慣れで迷惑をかける可能性があるため、ドリンクメニューを従来の半額程度となる税込み216円で提供するという。

 筆者はオープン初日に同店を訪れてみたが、なぜ串カツ田中が急成長しているのかをすぐに理解することができた。それは、同店の串カツがほかの串カツ田中の店と同じおいしさだったからだ。訪れる前は、新人がつくった串カツに多少の不安があったが、それは杞憂に終わった。

 おいしい串カツを低価格で食べられることが串カツ田中のコアとなる価値だが、新人が中心の店舗であっても、ベテランが中心の店舗と同様のおいしい串カツを提供できることは、串カツ田中の価値であることがわかった。これは非常に重要なポイントだ。

 串カツ田中では、腕の立つ職人を必要としない。串カツは串打ちした食材に衣をつけて揚げるだけのシンプルな料理のため、素人でも簡単に調理できる。さらに、つくり方はマニュアル化されていて、調理経験がなくても1カ月程度あればプロの味を再現することが可能だという。

 これだけの短期間でプロレベルの料理を提供できるということは、他店ではなかなか考えられないことだろう。素人でも調理技術を習得しやすいため、新人が中心の店でもおいしい串カツが食べられるというわけだ。

 調理以外でもマニュアル化が徹底されていることもあり、串カツ田中の売上高販管費率(経費率)は、飲食業界のなかではかなり低い水準にある。2017年度の販管費率は54.3%だった。たとえば、今勢いがある鳥貴族(63.0%)や、日高屋を運営するハイデイ日高(61.3%)と比べてみると、串カツ田中の販管費率の低さのほどがわかる。

 また、串カツ田中は販管費率が低いため、利益率が極めて高い。17年度の売上高営業利益率は7.0%にもなる。これは、飲食業界では極めて高い数値だ。ハイデイ日高(11.5%)はさらにずば抜けて高いので及ばないが、鳥貴族(5.0%)より高い。

 ハイデイ日高より販管費率が低いのに営業利益率で劣っているのは、串カツ田中は売上原価率が高いためだ。ハイデイ日高の27.2%に対して、串カツ田中は38.7%で、11ポイント以上も高くなっている。ちなみに、鳥貴族は32.1%だ。

 売上原価率の業界平均は30%程度といわれている。38.7%の串カツ田中は業界平均よりもだいぶ高いことになるが、これを1つ当たりの商品で考えた場合、売上原価に対しての販売価格がより低く抑えられていることが大きく影響しているためと考えることができる。多くの人が「串カツ田中はコスパが良い」と思う一番の理由は、ここにあるといえるだろう。

 串カツ田中は、新人中心でも運営できるビジネスモデルのため、かかる経費が少なくて済み、その分、価格を抑えることができる。また、利幅を確保することもできるというわけだ。

 新人中心で運営できるメリットは、ほかにもある。多店舗展開が容易になることがそのひとつだろう。多店舗展開するには当然、運営するための人員が必要になる。また昨今は、飲食業を中心に人手不足が深刻化しているため、人員を確保することは従来とは比べ物にならないぐらい重要な経営課題となっている。そうしたなか、新人中心でも運営できるというビジネスモデルは大きな強みになる。難しい調理を敬遠する人などを取り込むことが容易になるためだ。

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