松重豊演じる営業部長と野間口徹演じる課長がビジネスチャンスを逃し続け、「それさぁ、早く言ってよ~」と嘆くテレビCMでおなじみのSansan。「ビジネスの出会いを資産に変え、働き方を革新する」をミッションに掲げ、法人向けクラウド名刺管理サービス「Sansan」と、個人向け名刺アプリ「Eight」を提供している。
Sansanが目指すのは、名刺管理を通じた働き方改革だ。3月には「Sansan」の機能拡張を発表し、人工知能(AI)が「次に会うべき人」を教えてくれる新機能などが追加された。
同社のサービスはビジネスの現場でどのように活用され、どんな効果を生んでいるのか。3月に都内で開催されたコーポレートイベント「Sansan Innovation Project 働き方2020」内で行われたメディア向けカンファレンスにて、共同創業者である取締役・Sansan事業部長の富岡圭氏と、Sansan事業部プロダクト開発部長の藤倉成太氏に話を聞いた。
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――今や、名刺もデジタルで管理する時代ですね。
富岡圭氏(以下、富岡) 名刺は資産です。私たちが掲げている「ビジネスの出会いを資産に変え、働き方を革新する」というミッションを具現化するために、「Sansan」と「Eight」を提供しています。名刺は出会いの証であり、ビジネスの場で必ず交換するものです。その名刺を、ただの紙切れでなく、企業にとって価値のある資産に変えることで、ビジネスパーソンが抱える課題を解決し、世の中の働き方を良くしていこうと考えています。
創業から一貫して提供している「Sansan」は、名刺を組織内で管理・共有できるサービスです。クラウド名刺管理は「単にデジタル化して管理するだけ」と思われがちですが、Sansanは出会いの価値を最大化するプラットフォームに成長しています。企業がより生産的に、効率的に、イノベーティブな活動を行えるように、機能強化に取り組んでいます。
スタートアップやベンチャー企業、日本を代表する大企業や地方自治体など、すでに7000社以上の企業・団体に導入いただいています。
――「Sansan」のサービスは、働き方改革にどのようなかたちで貢献していますか。
富岡 最近の導入企業を例にお話しますと、沖縄を代表するプロバスケットボールチーム「琉球ゴールデンキングス」を運営する沖縄バスケットボール様という企業があります。同社では名刺の情報をエクセルに入力して管理していましたが、それではすべてを網羅することはできませんでした。チームが発展するなかで、増え続ける名刺を組織全体で有効活用したいということで「Sansan」を導入していただきました。
それにより、入力に2時間ほどかかっていたのが数分で終わるようになり、その分の時間を営業に回すことで1日あたりの営業件数も増えました。さらに、「Sansan」を社内でハブ的に利用することで、社員一人ひとりが持つつながりを可視化することができ、顧客との関係性強化に成功しています。
もうひとつは、電気設備を担う電巧社様の事例です。同社では海外法人と日本法人の間のコミュニケーションが不足気味でしたが、「Sansan」で顧客基盤を共有することにより、グローバルでの社員間のコミュニケーションが活発になったほか、顧客対応もスピーディになったという効果が表れているようです。