眠れない、早朝に目が覚める、寝ても寝ても疲れが取れない――。
ストレスの多い現代は「睡眠」について悩んでいる人が多く、関連本も多く出版されているが、そんな中、よく眠れて寝覚めが良くなると評判の機能性食品があるという。これはいわゆる薬ではなく食品に分類されるものなので、体に耐性がつくこともないとされている。
そもそも機能性表示食品とは、事業者が一定の科学的根拠を基に、販売前に消費者庁長官に届け出をし、健康の維持や増進に役立つといった機能性を表示した食品のことで、2015年に制度が始まった。
商品は、三重県四日市市に本社がある食品原料メーカー、太陽化学株式会社の子会社が開発したサプリメント「サンテアニン200」(販売者:タイヨーラボ)。この製品は、主にL-テアニンという物質で作られており、これはいわゆるお茶の木である「チャノキ」に含まれるアミノ酸で、摂取すると睡眠の質を良くしたり、ストレス軽減効果や起床時の疲労感軽減効果などが期待できるという。
商品開発のきっかけはユニークだ。同社は三重県にあることから、県の特産品「お茶」を原料とした商品開発に取り組み、これがL-テアニンの持つ特殊な効果の発見へとつながった。
しかし、茶葉そのものを原料とするとコストがかかり過ぎて商品化が不可能であるため、現在は発酵技術を利用して製造したものを商品化し販売している。1990年代から主に国内では健康食品、アメリカではリラックスを目的としたサプリメント向けの原料として販売していたが、前述のとおり2015年に国内で機能性表示食品制度が始まったことでL-テアニンの効能の記載ができるようになり、一般向けにも発売を始めた。現在はインターネットで購入ができる。
では実際、睡眠の質の改善は、どの程度期待できるのだろうか。
小関誠氏らの実験(「日本生理人類学会誌9」【143-150、2004年】)によると、健常男性22名を被験者としてクロスオーバー二重盲検法でL-テアニン200mg、またはプラセボを6日間、就寝1時間前に水で摂取させた。この結果、L-テアニンを服用したグループには、起床時の疲労感の回復や、睡眠していたと感じた時間の延長などの効果がみられたという。
なお、一つ注意したいのは「テアニン」の摂取方法だ。「緑茶をがぶがぶ飲めばいい」と考えてしまいがちだが、実際にはそうではないと太陽化学の担当者は言う。これは緑茶本体にはカフェインなどが含まれるが、このカフェインには眠りを阻害し意識を覚醒させる効果があるため、緑茶を大量に飲んだとしてもリラックス効果や睡眠の質を改善する効果は出にくくなる。このため、L-テアニンだけを取り出した錠剤を摂取したほうが効果を実感しやすいのだという。