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こうした内向きの経営が続いてきた結果、大塚家具の株価は下落してきた。同社の株価は1999年にピークを付けた後、一貫して下落している。高価格帯の家具を会員制度で販売するという同社の経営は、一定の支持を集めることはできた。しかし、人口が減少するなかで、家具の需要は減っていく。株価を見る限り、大塚家具は環境の変化に適応するための取り組みを進めることができてこなかったといってよい。
その上に親子喧嘩に端を発する経営の混乱や、現社長の戦略の失敗が、先行きの業績不安を高めている。大塚家具が従来の発想を改めることができないと、企業価値は毀損される恐れがある。
経営悪化を招いた現社長の行動様式
大塚家具の経営悪化の原因は、意思決定権者である現社長の行動様式にある。現社長は、自らの失敗を受け入れることにかなりの抵抗感を持っているようだ。
決算説明会などの場で大塚社長は、業績の回復が見込めると強弁を貫いてきた。また、そのための取り組みをアピールするかのように、社長がPRの場に登場することも増えているように感じる。大塚社長の自己顕示欲は強いといえる。現状を客観的に考えると、その行動様式は利害関係者の反感を招く恐れがある。
2016年、2017年と2年続けて、大塚家具の業績は最終利益が赤字に陥った。ROE(自己資本利益率、当期純利益÷自己資本)がマイナスに陥っていることはいうまでもない。前社長の時代に比べ、業績内容の悪化スピードは加速している。店舗別の売上高を見ても、前年同月の水準を下回る伸び率で売上が推移している。顧客離れは深刻だ。
この状況に関して、「本来であれば、社長として反省の弁があってもよい」「大塚家具トップとして、自らの進退を考えるべき局面にある」と、真剣に考える市場参加者は少なくない。また、中古家具の販売など、大塚社長の発想にどこまで実現性があるか、疑問を感じる専門家もいる。
イケアやニトリの成長にみられるように、人々は安くてよいものを求めている。大塚家具は、そうした企業との差別化を重視してきた企業だ。同社がとるべき戦略の一つは、高価格帯の品ぞろえを増やし、国内外の富裕層をターゲットにしたマーケティングを強化することなどだろう。
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