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日本独特の規制に頭を痛めるソフトバンクにとって、強力な助っ人となりそうなのがトヨタだ。ソフトバンクは今後、トヨタの政治力をバックに、日本でのライドシェア解禁に向けた活動を本格化すると見られる。また、2020年に実用化される予定の第5世代移動通信システム(5G)の周波数割り当てでも、総務省に対してソフトバンクが有利になるようにトヨタが支援してくれる可能性もある。
ソフトバンクからすれば、数ある提携先の1社
ソフトバンクがトヨタとの提携に期待するのはそれだけではない。たとえば「信用力」がある。
ソフトバンクは、相次ぐ買収や出資で事業を拡大、営業利益は1兆円を超える規模にまで成長してきた。一方で、急激な事業拡大で有利子負債が15兆円にまで膨らんでおり、財務体質の悪化が懸念されている。今回の提携でソフトバンクの後ろ盾にトヨタがついたとなると、メインバンクのみずほ銀行はじめとする金融機関や投資家の「見る目」が変わる。
それぞれの思惑がありながらも提携で合意したトヨタとソフトバンクだが、「自動車」に対する考え方の温度差があり過ぎることから「いずれ破談になる」(自動車メーカー首脳)と予想する声もある。豊田氏はことあるごとに「“愛”が付く工業製品はクルマだけ」と述べ、電動化や自動運転が進んでも「未来のクルマをコモディティ化しない」ことに固執する。
これに対して孫氏は「自動運転時代は一般のクルマ(手動運転)は排除され、公道を走れなくなる。運転するクルマは趣味として楽しむもので、馬と同じになる」と、クルマは単なる道具と言い切る。
両社による合弁事業が進めば、その考え方の違いが表面化して衝突するのは避けられない。ただ、ソフトバンクからすれば、トヨタといえども数ある提携、出資会社の1社にすぎない。
「孫氏からすれば、トヨタの力をうまく利用したいが、うまくいかなければ他の自動車メーカーと組めばいいだけと考えている」(自動車専門誌の記者)
また、「ソフトバンク帝国を一代で築き上げた孫氏と、周辺を茶坊主だけで固めてきたお殿様の豊田氏では所詮、役者が違う」との声も聞かれる。時価総額22兆円企業のトヨタが、ソフトバンクの孫氏の掌の上で踊らされている。
(文=河村靖史/ジャーナリスト)
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