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「高くなった」いきなり!ステーキ、1年で店舗数倍増→“客の共食い”で深刻な客離れの懸念

文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント

「いきなり!ステーキ」が米国で失敗した理由

「いきなり!ステーキ」は最終的にはニューヨーカーに受け入れられず、不採算店の閉鎖を余儀なくされた格好だ。背景には、ステーキに対する日米の考え方の違いがある。

 まず、「立ち食い」が米国人に合わなかったことが挙げられる。日本では「立ち食いそば」や「立ち飲み屋」、「俺のフレンチ」などの「立ち食いレストラン」があり、「立ち食い」の文化がそれなりに根付いている。一方、米国にはそれが根付いてはいない。そのため、米国では早々に立ち食い席からテーブル席への切り替えを余儀なくされている。

 日本の店舗では馴染みのテーブルの仕切りを、米国では取り除いている。日本では1人での来店が多いということもあり、正面の人と顔を合わせずに食事ができるようテーブルに仕切りが設けられていることがある。一方、米国では2人での来店が少なくなく、正面に向き合って食事をする場合、仕切りは邪魔になってしまう。そのため、米国では仕切りの撤去を余儀なくされた。

 ステーキに対する日米における位置づけの違いもある。米国はステーキの本場だが、外食では高級なステーキが好まれるため、低価格のステーキは外食ではなく自宅で消費されるのが一般的だ。そういった状況で米国にあえて高級ではないリーズナブルなステーキを提供する「いきなり!ステーキ」を投入したわけだが、残念ながら、米国人のステーキの消費習慣を変えるには至らなかった。

 日本流の「レア」が受け入れられなかった面もある。そのことを示すように、飲食店情報サイトには肉の焼き加減について利用者の厳しい声が集まっている。

「They recommend rare but that’s hard for someone who’s pregnant or not used to eating raw steaks.(店はレアを勧めているが、妊娠している人や生のステーキを食べることに慣れていない人には難しいことだ)」

 ステーキの脂の多さに対する批判の声も少なくない。これは、ステーキの脂身に対する日米の好みの違いからきているだろう。一般的に、日本人は脂身が多いステーキを好むとされているが、米国人は脂身の少ないステーキを好むとされている。そのためか、「The steak was full of fat.(ステーキは脂肪が多かった)」といった、脂身の多さを批判的な論調で指摘する人が少なくない。

 さらに、価格と品質のバランスの悪さを指摘する人も多い。

「High prices, low quality. Looks like a tourist trap, stay away.(高価格、低品質。観光客を騙す罠のようだ。近づくな)」
「I was taking friends from work here but will just go to Gallagher’s from now on for the same price.(私は仕事仲間をここに連れてきたのだが、これからは同じ価格帯のギャラガーズに行くようにする)」

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