「スポーツデポ」や「ゴルフ5」、社名と同名の「アルペン」といったスポーツ用品店を展開するアルペンが、経営危機に陥っているようだ。
アルペンといえば、冬のゲレンデを連想させる有名企業。いわゆるバブル期には、テレビでCMを大量に流していたこともあり、スキーやスノーボードなどのウィンタースポーツに馴染みのない人にも広く知られている。
だが現状では、野球などのスポーツ用品やアウトドア用品など、一般スポーツ用品がメイン商品となっている様子。現在はグループ全体の売上に占めるウィンタースポーツ用品の割合は、5%未満だという。
アウトドア関連では、ある程度堅調な業績を上げているというアルペンだが、競技スポーツ市場の縮小やネット通販の隆盛という逆風が重なり、全体としては苦戦。2018年7~9月期の決算では、2006年に上場して以来、初めての赤字になった。
こういった不振もあってかアルペンは、今年1月に300名程の希望退職者を募集すると発表。子会社であるジャパーナと合わせた社員全体の10%程度となる人員カットを断行し、コスト改善を図っていくようだ。
その一方で、新業態の店舗をオープンするなど、復活に向けて動き出しているアルペン。その栄光と失敗の過去を振り返りながら、ここから再度巻き返していける可能性はあるかどうかを、人と組織のコミュニケーションや営業に精通した企業アナリスト・大関暁夫氏に話を聞いた。
市場の主導権を握ってきたものの、時代の流れに付いていけず
「私は今年で60歳になりますので、バブルの頂点やその前後を、若い時代に経験しています。その印象で言いますと、アルペンはバブル時代のスキーブームというもののなかで、いわゆる大型スポーツ専門チェーンストアとして、特に最初はスキー用品をメインとして、かなりの勢いで業績を伸ばしてきた企業だと認識しています。
チェーンストアのメリットというのは、多店舗で展開することで仕入れを安くできることです。安く仕入れて、他社との競争力を高めて売上を伸ばすということが、チェーンストアの基本的な考え方になるわけですが、とりわけアルペンは、ウィンタースポーツ用品においてそのシステムをいち早く展開し、業界のなかでも市場の主導権を握る存在になっていたといえるでしょう」(大関氏)