ビジネスジャーナル > 企業ニュース > バブルの象徴アルペン、存亡の危機  > 2ページ目
NEW

“バブルの象徴”アルペン、存亡の危機の理由…ユニクロ&ニトリと真逆、生き残り困難か

文・取材=後藤拓也/A4studio
【この記事のキーワード】, ,

 そんなウィンタースポーツ業界の雄であったアルペンが苦境に立たされたのには、2つの要因があると大関氏は続ける。

アマゾンを中心とした、昨今のeコマース企業の台頭のなかで、“物を買う”ということに対する、消費者の動向が大きく変わってきている状況があります。何か欲しいものがあると、アマゾンなどのネットで探すということが、今の人々の主流な動きになっていますからね。ですから現状、リアル店舗をメインにしてきたアルペンは、eコマース企業から一方的にやられてしまっているというわけです。またアルペンの場合、自社製品はおおよそ2~3割と報道されていますから、少なくとも7割は、大手メーカーなどの他社製品を仕入れて売るという販売方法になっています。

 今、リアル店舗で成功している大型チェーン店には、ユニクロとニトリがあります。この2社がなぜうまくいっているかというと、海外製造をメインとして低コストで自社製造をして、利幅の大きい商品を中心に扱っているからです。これにより、なんらかの要因で売上が不振になったとしても、利幅が大きい商品を扱っている分だけ、“バッファ(=余裕)”がある。どこかのタイミングで業績が悪化したとしても、あらかじめ資産のストックをつくっているというのがユニクロ、ニトリの経営スタンスです。

 ですから、自社製品が少ないアルペンは、さまざまな要因による売上の減少が、徐々にボディブローのように効いてきていて、ここにきて赤字転落したということでしょう。そしてやむを得ず、300人もの大幅削減という策に打って出たという状況なのだと思います」(同)

アルペンと大塚家具の違い、起爆剤は新たな会員プログラム?

 苦しい状況にいるアルペン。大関氏によれば、再度盛り返すことも容易ではないという。

「例えば大塚家具が失敗した原因は、高価格帯商品販売という、自社の得意マーケットをなかば捨ててしまったことによるものでした。後発のニトリやIKEAは、安価な商品で一般層をどんどん取り込んでいこうという方法論で業績を伸ばしていきました。一方、もともとの大塚家具は、どちらかといえば富裕層や法人といった、ある程度購買力の高い層をメインの顧客としていたわけです。それにもかかわらず、あえてニトリやIKEAが主戦場としている価格帯のレッドオーシャンに、メインの戦略をぶつけていくというやり方をしてしまったがために、得意マーケットだった富裕層や法人への販売も不調となり、現在、大変苦しい状況に陥っているわけです。

 ただし、大塚家具の場合、過去に積み上げてきた優良な取り引き先をもう一度見直すというような、原点回帰の手法を取っていけば企業として生き残る道もあると思います。

 ところが、スポーツメーカーのブランド品を安く売ってお客さんを集めるというアルペンのやり方は、新たに台頭してきたeコマース企業と、初めからマーケットが重なってしまっているのです。アルペンが非常に厳しいのは、eコマース企業と同じ市場を狙っているなかで、利便性や価格の面で後れを取ってしまっている、負けてしまっているというところでしょう。ですから、現状のまま正面からぶつかって、勝てる材料はほとんど見当たらないのです」(同)

“バブルの象徴”アルペン、存亡の危機の理由…ユニクロ&ニトリと真逆、生き残り困難かのページです。ビジネスジャーナルは、企業、, , の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!