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新聞紙面に滲み始めた、新聞社のコスト削減と「働き方改革」の苦労

文=小林拓矢/フリーライター
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新聞紙面に滲み始めた、新聞社のコスト削減と「働き方改革」の苦労の画像1この「版」の表示を見れば、新聞の「鮮度」がわかる

 合理化や「働き方改革」が重要なのは、どんな業界でも例外ではない。働く時間を減らし、あるいは残業を減らし、長時間労働を減らすことで労働者の働き方を改善する一方、残業代などの人件費支出を減らし、企業の財務面での改善を行うことにもなる。

 それは新聞社でも同じだ。新聞社は夜間や深夜に働く人が多く、記者は裁量労働制であるものの、紙面をつくる整理部門や、記事をチェックする校閲部門、印刷などに従事する社員はそうではなく、深夜手当などが増額される。加えて、帰宅の際のハイヤー代なども、会社が負担する。
 
 しかし新聞の発行部数が大きく減少し、これまでのように多額の人件費をかけることは、難しくなってきているだろう。新聞社では給与やボーナスの削減など、さまざまな緊縮策が取られている。そんななかで、新聞紙面の制作にかけるコストを減らそうとする動きが、最近は目立つ。

校了が早くなっている

 かつては、新聞のニュース面はなるべく遅い時間のニュースを掲載しようと努力していた。一方で、文化欄や家庭欄は、早い時間に校了し、早い「版」が最終版でも掲載されていた。

 ところが最近は、東京23区に配布される最終版でも、各紙面が早い「版」となっていることが多く見られるようになった。参考までに、東京都調布市にある筆者の自宅では、朝日新聞と日本経済新聞を購読している。朝日の最終版は14版、日経は13版である。また、どちらにもデジタルの契約がある。

 たとえば朝日をみてみると、1面は14版でも、2面(総合面2)は13版、日によっては12版▲(夕刊のない統合版地域に配布される紙面と同じ)ということもある。朝日は、ほとんどの日で2面は大きな記事ひとつ(「時時刻刻」)、「ひと」欄、日によっては「いちからわかる!」で構成されており、最終版でも早い版と同じ内容で問題はないのかもしれないが、かつては新聞自体の版を重ねるごと紙面の版数も重ねられていた。

 ちなみに、朝日の14版校了時刻は深夜1時15分、13版は22時~24時頃となっている。12版▲の場合は22時頃。電車で帰れる時間だ。

 それ以外の総合面でも14版ではないことが多く、経済面は13版で終わり、国際面の半分とスポーツ面の大半、社会面は14版となっている。

 また、日経の最終版14版を電子版で確認すると、2面は13版であり、ほとんどの面で12版~13版、商品面は11版の日もある。社会面では2面のうち、1つの面しか13版ではない。日経の「14版」校了時刻も、深夜1時15分。「12版」は22時ころ、「13版」は24時ころだ。

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