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鳥貴族、赤字転落で危機突入…値上げ嫌われ15カ月連続客数減、過剰出店で客の“共食い”

文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント

 吉野家は14年12月中旬に値上げを実施し、主力の牛丼並盛りの価格を税込み300円から380円に引き上げているが、その結果、客単価は大きく上昇し、14年12月から15年12月までは前年同月比9~19%増の大幅なプラスが続いている。この13カ月のうち11の月が2桁増となっている。その後は落ち着いて、マイナスとなる月もあったが、2桁のマイナスになる月はほとんどなく、全体的に小幅なマイナスにとどまっている。こうしたことから、値上げは客単価を押し上げたといっていいだろう。

 いずれにせよ、鳥貴族は値上げによる客数の減少を客単価でカバーすることができずに苦戦を強いられているわけだが、価格面で今後問題となりそうな要因が、10月に予定している消費増税だ。税率が8%から10%に引き上げられる予定だが、増税分をそのまま価格に転嫁すれば、さらなる客離れが避けられないだろう。税込み価格において増税分をそのまま上乗せするのか、税込み価格を現状と同じにして本体価格を下げるのか、はたまた税込み価格をも下げるのかに関心が集まりそうだ。

値上げ以外の客離れの要因

 鳥貴族は客離れで苦しんでいるわけだが、要因は値上げだけではない。それ以外の要素として特に大きいのが、類似業態が増えたことだろう。ワタミの「三代目鳥メロ」、コロワイドの「やきとりセンター」、DINAMIXの「鳥二郎」、エー・ピーカンパニーの「やきとりスタンダード」などが台頭しており、鳥貴族を脅かしている。

 こういった類似業態が台頭することで生じるリスクは、直接的に客を奪われることだけではない。埋没して存在感が低下するリスクも大きいだろう。鳥貴族はかつて「焼き鳥居酒屋といえば鳥貴族」という強いポジションを保持していたが、類似業態が増えるにつれて「数ある焼き鳥居酒屋の中のひとつ」という弱いポジションに移行してしまい、かつてほど存在感を発揮できなくなっている。このことが客離れにつながった側面がある。

 特に台頭著しいのが、焼き鳥居酒屋「三代目鳥メロ」だ。ワタミは不振の総合居酒屋「和民」から転換するかたちで「三代目鳥メロ」を増やしている。18年9月末時点の店舗数は134店で1年前から11店増えている。から揚げが主力の居酒屋「ミライザカ」の149店を加えると、国内外食事業の6割を占めるほどで、ワタミは鶏居酒屋の色を強めて鳥貴族に対抗しようとしている。

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