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湯之上隆「電機・半導体業界こぼれ話」

ジャパンディスプレイ、経産省の関与で経営混迷…中国企業傘下入りは“当然の帰結”

文=湯之上隆/微細加工研究所所長

 アップルは2015~2016年頃から、有機ELを採用する方針を発表していた。にもかかわらず、JDIの経営幹部は、「有機ELに出遅れた」などということを平気で発言している。現在の取締役たちには、経営能力がないとしか言いようがない。取締役は責任を取って全員、直近3年間分の役員報酬を返上し、総退陣するべきだろう。

 以下では、エルピーダやルネサスなど、政府が関与し、複数社が統合された半導体メーカーの末路を見てみよう。JDIと同じ景色が見えてくる。

“日の丸DRAM”エルピーダの事例

 エルピーダは1999年12月、NECと日立製作所のDRAM部門を切り出して統合することによって設立された。その背景では、経産省が旗を振っていた。

 日立に在籍していた筆者は、志願してエルピーダに出向したが、NECとの壮絶な技術覇権争いを行う羽目になった。そして、戦いに敗れ、課長を降格されて閑職に追いやられてしまった。その経験から、複数社の統合がいかに困難なことかを身をもって体験した。

 一度は潰れかかったエルピーダを立て直したのは、2002年に社長に就任した坂本幸雄氏である。坂本氏は、その剛腕でNECと日立のバトルを鎮め、世界中から1700億円の資金を調達し、DRAM生産量を拡大させた。

 しかし坂本氏は、過剰技術で過剰品質をつくるという病気を治すことはできなかった。そのため、DRAM売上高が増大しても、営業利益はほとんど増えなかった(図3)。その結果、2008年のリーマン・ショックの時に1474憶円の赤字を計上し、2009年には経産省の決定で、産業再生法第1号の適用を受け、公的資金約300憶円が注入された。

ジャパンディスプレイ、経産省の関与で経営混迷…中国企業傘下入りは“当然の帰結”  の画像3

 これは、個人レベルでいえば、失業保険の受給のようなものである。ところが、エルピーダの病気は一向に良くならず、円高が進み、DRAM価格が下落し、東日本大震災等が起きた結果、2012年2月にあっけなく経営破綻してしまった。そのとき、エルピーダのCOOを務めていたのが、のちにJDIの社長になる大塚氏である(なぜ、このような人事をしたのだろうか)。

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