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ルネサス混迷、異例の2カ月操業停止で社員一時帰休と給与カット…巨額負債の隠れた爆弾

文=編集部
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世界の半導体は30カ月ぶりに減

 世界の半導体市場は様変わりした。18年実績では10年前の2倍に成長したが、ルネサスが18年9月にIDT買収を発表した直後に、半導体価格は下落に転じた。

 今年1月、フラッシュメモリの価格は30カ月ぶりに前年水準を割り込んだ。2割を上回る高成長が続いたが、18年後半に減速し、19年に入るとマイナス圏に突入した。

 フラッシュメモリの用途はスマホが約4割、データセンター向けが約3割、自動車やパソコンなどが残りの約3割といわれている。

 成長を牽引したのはグーグルやアップルなど「GAFA」と呼ばれる米IT(情報技術)大手のデータセンター投資だった。クラウドの普及でデータ量が急増し、データを記憶する「メモリー」と呼ばれる半導体の特需をもたらした。ところが、18年夏からGAFAが調達を抑制。フラッシュメモリの価格は1年で4割以上下落した。

 中国では自動化投資ラッシュが半導体の需要の大きな支えになってきたが、米中貿易戦争の余波で家電や車、工作機械向けが急減した。近年の需要拡大を支えてきたGAFA、中国という2本柱が勢いを失った。

 呉社長は19年後半の半導体の需要見通しについて「英国のEU(欧州連合)離脱や米中貿易摩擦があって予測しにくい」と、株主総会で述べた。

 ルネサスは在庫リスクを軽減するため、長期の操業停止と人員削減に踏み切るわけだ。呉社長は車載用を重視している。一方、ルネサス再建の陰の立役者である柴田英利CFO(最高財務責任者)は、データセンター向けなど車以外の強化を主張。2人の意見の相違がメディアで取り沙汰されている。

 IDTの買収が3月30日で完了したのを受けて、中期経営計画を策定し直す。車載か非車載か――。明確な方向性を打ち出すことができるかがカギを握る。

 国内販売網も再編する。販売代理店契約を結ぶ専門商社の数を16社から6社に絞り込む方向だ。コスト削減策の一環である。今後1~2年で、「特約店」と呼ばれる代理店をリョーサン、菱電商事など6社に集約する。

 ルネサスは10年の発足後、特約店を30社から16社に減らしたが、本格的な販売網の再編はこれ以来となる。
(文=編集部)

BusinessJournal編集部

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