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小笠原泰「日本は大丈夫か」

大学入学式ですら新入生が全員ダークスーツという病的な日本…人生を選択できない若者たち

文=小笠原泰/明治大学国際日本学部教授
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選択されてきた者の身体的反応

 安倍政権のおかげで、高い有効求人倍率を背景に、ここ数年の新卒の就職率は高いのだが、それは人気のない企業の求人も含めた全体で高くなっているということでもあり、上位の人気企業への就職は極めて熾烈である。やはり「企業に選ばれた」という意識が強くなるのではないだろうか

 就活で学生たちはみな同じようなリクルートスーツを着ているが、人と違ったことをして選ばれない原因となることは極力せず、自分で責任を取らない安心な状況をつくりたいわけである。ゆえに、皆と同じリクルートスーツを着て一生懸命個性を語るという、興味深い現象が生まれるわけだ。入社式もその延長である。

 このように考えると、それまでの人生で選択されてきた者が、身体的反応として周りに判断基準を求めるのは不思議ではない。前述のとおり自分が選ばれない原因を極力排除していけば、結果は皆と同じになってしまう。これは、無難な選択というよりも、選択されないで後悔することになる要素を身体的に排除しているのである。

 生き残るためにはリスクテイクが前提となる多様化が避けられない状況のなかで、このような新入生や新入社員は、果たして生き残れるのか、一抹の不安を感じずにはいられない。

 筆者は、すべての国民に「選択される権利」を与えることを是とする政府と、それを望む国民と国家に将来はないのではないかと考える。少なくとも、大学で学生たちが選択肢を拡大し、選択の自由を確保するにはどのようにすべきなのかを真剣に考えて、実践するようになってもらいたいと思う。そのために教員は何ができるのかを、真剣に考えなければならない。
(文=小笠原泰/明治大学国際日本学部教授)

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