――「写真時代」は過激な表現で警視庁から何度も注意を受けて、最終的に廃刊になっているそうですね。「Wikipedia」では、廃刊の理由が「被写体の女性の下着の食い込みが激しすぎて……」と紹介されています。「見えそう」でも下着をつけている、というのがおもしろいですね。
比嘉 昔はいろんな工夫をしていたんです。今は何のひねりもなくて、露骨なだけですね。ストレートさだけではつまらないと思います。
――今は昔ほど条例は厳しくないのですか?
比嘉 21世紀に入ってからは総じて厳しくはないですね。もちろん、コンビニで販売するときは雑誌を青いテープで留める「二点留め」が義務化されていますし、楽ではないです。テープの経費は版元持ちですから、小さな出版社にはかなりの負担です。
――今までは、それでもペイしていたんですか?
比嘉 そうでなければ売りませんよ。1冊あたりの値段は1000円前後で、通称「五番棚」と呼ばれる端のコーナーではありますが、全国の店舗に置かれるので、けっこうな部数になります。成人誌以外でも、私が立ち上げた雑誌がコンビニで売られるようになったときはうれしかったですね。「これで大手と勝負できる」と力が入りました。
一方で「書店で売れることはもうないのかも……」とも思いましたね。実際にそうなっていくんですが、そもそも「本を読まない人」が増えて紙の本自体が売れなくなっています。
――若者を中心とする「本離れ」は不況も背景にありますね。わざわざ本を買って読むお金と時間の余裕がない人が増えているようです。たいていの情報はネットで得られますしね。
比嘉 そうですね。社会でいろんなことが同時に起こって、今の状況になっているんでしょう。
――今回の撤退に関しては、「成人誌は目障りなわりに儲からないから、コンビニに置かなくていい」という論調も目立ちました。
比嘉 むしろ、おにぎりなんかより利益率はいいと思いますよ。賞味期限もないですしね。そもそも、成人誌1冊だけを買うお客さんはまずいません。たいていは缶コーヒーや弁当、タバコ、ガムなどを一緒に買いますから、客単価はかなり高くなると思います。
それから、町の本屋がつぶれていくなかで、コンビニの本売り場を見直す向きもありますよね。たとえば、スーパーにも本やCDの売り場があることが多いです。売り上げはめちゃくちゃいいわけでもないけれど、本やCDを売る「場」は大切だし、お客さんもそういう場を求めているでしょう。