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意外に売れてた「成人誌」が8月でコンビニから消える…出版業界は“ソフトな対応”を切望

構成=編集部
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――そこに成人誌もあっていい、ということですね。

比嘉 そうですね。急に全部やめるのではなく、ほかにやり方はあったと思います。

今や経済の中心は男から女へ

――成人誌をわざわざ買って読むというのは、女性には理解できないところもありますが?

比嘉 成人誌に限らず、今までは世の中のものって、たいていは「男のため」につくられていたと思うんです。男のニーズが経済の中心でしたよね。

――確かに、今でこそ「an・an」のセックス特集【※2】や女性向けAVも珍しくありませんが、そういうのは80年代のバブル期以降の話ですね。

比嘉 そうです。それまでは主婦向けの「微笑」など下世話な女性誌はあったけど、おしゃれなエロじゃなかったですね。でも、80年代後半になって女性が社会の主導権を握り、エロもおしゃれになっていきます。男たちは野獣っぽさがなくなったというか、牙を抜かれている気がします。

 ジュリアナ【※3】は、まさにその象徴ですね。私はジュリアナ人気を見て、「男の時代は終わったな」と実感しました。それまでは、映画『サタデー・ナイト・フィーバー』のジョン・トラボルタのように、ディスコも男が中心だったんです。でも、ジュリアナでは「お立ち台」で踊る女性たちを男たちがあがめるようにうっとり見ている。まさに「女性の時代」を象徴していました。

 彼女たちは、男ではなく「自分のため」に踊っていましたよね。男の目線よりも自分が大事。ギャル雑誌の登場もそうですね。「egg(エッグ)」(1995年にミリオン出版から創刊)に登場する女の子たちも、自分らしいおしゃれを楽しみ、異性より同性の目を意識していました。

――なるほど。女性が中心になってきたのは最近なんですね。

比嘉 そうです。コンビニも朝早くから夜遅くまで働く男のためにつくられたようなものでした。宅配便も、ゴルフやスキーの荷物を送るのがメインだったはずです。いわば、世界は「男中心」だったんですが、徐々にそうではなくなっていますよね。コンビニも女性向けのスイーツやサラダの開発に力を入れています。そして、「女性や子どもに迷惑だからコンビニに成人誌を置くな」と叱られる時代になってしまったんです。

* * *

 後編では、規制の背景や成人誌販売の今後などについて、引き続き比嘉氏の話をお伝えする。
(構成=編集部)

【※1】
ミニストップ千葉市店舗および全店における成人誌取り扱い中止について

【※2】
1989年に「セックスできれいになる」をテーマにして話題になり、それ以降はほぼ年1回セックス特集を企画している。

【※3】
正式名称は「JULIANA’S TOKYO British discotheque in 芝浦」。1991年から94年に閉店するまでディスコ・ブームをつくった「伝説のディスコ」。130センチほどの「お立ち台」に「ワンレン・ボディコン」の女性たちが羽根つきの扇子「ジュリ扇」を振り回して踊る姿は今も「バブルの象徴」と評されるが、オープン時には不動産バブルはすでに崩壊している。

●比嘉健二(ひが・けんじ)
1957年東京生まれ。(株)V1パブリッシング代表。81年ミリオン出版(株)(当時)に入社、暴走族やヤンキーのファッションやライフスタイルを取材した『チャンプロード』や『ティーンズロード』、不良からサブカルまでカバーした『GON!』などを世に出したカリスマ編集者。2009年にミリオン出版社長就任、12年に退社後V1パブリッシングを設立、社長に就任した。現在は『昭和の不思議99』や『昭和の不思議101』、『別冊ラヴァーズ』などを手がける。「赤塚敬」名義で自らのリストラ経験を交えて書いた『貯蓄ゼロでも老後に困らない7つの法則』(リイド社)も話題。

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