コナカとはるやま
コナカは18年9月期の最終損益が4億円の赤字(前期は9億円の黒字)に転落した。売上高は前期比4.4%減の651億円、営業利益は48.0%減の9億円だった。
16年10月から始めたオーダースーツ店「ディファレンス」が成長したことが収穫だった。店舗数は一気に拡大し、18年9月末時点で50店を展開するにまで成長した。これは評価していいだろう。だが、これをもってしてもスーツ市場の縮小の流れには抗えず、業績は大きく悪化した。
コナカは青山商事やAOKIと違ってスーツ以外の事業が育っていない。スーツを主軸としたファッション事業だけで売上高は全体の96.5%を占める。スーツの動向が業績を大きく左右する構造となっており、スーツの不振がそのまま影響したかたちだ。
コナカはとんかつ店「かつや」や、から揚げ専門店「からやま」をフランチャイズ展開する飲食事業、英語を学ぶ学童保育「キッズデュオ」などの教育事業を手がけているが、どれも規模が小さく、業績への貢献は今のところ極めて限定的だ。リスク分散を図るためにも、早急にこれらの事業を育てたいところだろう。
はるやまホールディングスは19年3月期の最終損益が2億円の赤字(前期は13億円の黒字)に転落した。売上高は前期比2.7%減の555億円、営業利益は24.0%減の18億円だった。
自然災害や天候の影響で販売が苦戦し、売上高が低迷した。また、店舗の収益力低下による減損損失やデザインにこだわった紳士服の販売店を運営する子会社のテット・オムの債権譲渡にかかる損失などで21億円の特別損失を計上したことが赤字転落につながった。はるやまもコナカ同様にスーツ以外の収益の柱を育てることが急務といえる。
4社とも18年度は減収減益で、うち2社は最終赤字の計上を強いられた。厳しい状況が浮き彫りとなっている。事態の打開を図るため、各社は、オーダースーツを強化するなど本業のテコ入れを進めるほか、スーツ以外の事業の育成を早急に進めることが必要だろう。当面は厳しい状況が続きそうだ。
(文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント)
●佐藤昌司 店舗経営コンサルタント。立教大学社会学部卒。12年間大手アパレル会社に従事。現在は株式会社クリエイションコンサルティング代表取締役社長。企業研修講師。セミナー講師。店舗型ビジネスの専門家。集客・売上拡大・人材育成のコンサルティング業務を提供。