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宮迫博之の「牛宮城」は長続きするか?飲食店経営者が語る本音…元木大介は大コケ

文=井山良介/経済ライター
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「焼肉 牛宮城」より
焼肉 牛宮城」より

 3月1日、ついにオープンした宮迫博之の焼き肉店「牛宮城」。開店祝いで連日のように芸能人やユーチューバーが来店している。もはや盟友であるユーチューバー・ヒカルとの共同経営で昨年10月に開店予定だったが、開店直前の試食会でヒカルに味や盛り付けの問題点を指摘され、無期限延期に。

 その後、ヒカルの撤退により宮迫が経営に力を入れた結果、味の改善につながったとの評価も聞こえてくる。これらの試食会動画の再生回数は800万回を超えている。

 さらに、元相方の蛍原徹も来店するとの話もあるなど、今後も注目度は高まりそうだ。

宮迫の先行投資額は億単位?

「間違いなく3カ月以上は客入りもいいはずです。今後のカギはリピーターを確保できるかどうかだと思います。飲食店を長期間続けるためには『味』と『コスト』のコントロールが不可欠。長期経営には、品質の維持とコスト管理に力を入れなければなりません」と飲食店経営者は語る。

 ヒカルに指摘されたこともあり、開店延期で料理の見た目や味が改善されたのは間違いない。また、従業員が仕事に慣れることもリピーター確保の条件となる。

「有名人が広告塔の店には、飲食店経営に詳しい経営者や味にこだわる人物が必要となります。わかりやすく言えば、有名人は単なる広告塔。あの人の店に行ってみよう、と最初は来てくれますが、リピーターとなってもらうには『安くておいしかった』と客を満足させなければなりません」(前出の飲食店経営者)

 100%株主となった宮迫が牛宮城に投資した金額は、億単位との報道も出ている。実際、内装に金をかけるなど先行投資はかなりの額だろう。また、店の家賃が月300万円とすると、5カ月の開店延期で1500万円の追加コストも発生していることになる。

有名人経営飲食店の成功&失敗例

 有名人が飲食店を経営する例は多いが、その成功率は決して高くない。

 失敗したケースとして知られるのが、巨人の元木大介だ。引退から5年後に「ラーメン界の新人王を取りたい」とラーメン店の経営に携わるも、4年で3店舗を潰している。私も一度食べてみたが、また食べたいという味ではなかった。巨人のコーチとして球界に戻って何よりである。

 元横綱・若乃花の花田虎上が始めたちゃんこ店も都内を中心に全国展開、一時期は年商15億円もの売り上げを計上していたが、暑い夏場に客足が衰えるなど常連客が増えず、4億円の負債を抱えて倒産した。もっとも、花田氏自身は破産の2年前に経営権を売却していたという。

 ある経営コンサルタントは、以下のように語る。

「相撲界出身者が経営するちゃんこ店で長続きするのは、相撲部屋でちゃんこ番を長くやった人が作っている店ですね。元大関の霧島が経営する『ちゃんこ霧島』は、コロナ禍でも経営を続けています。

 相撲界以外では、一時は全国展開していた『アントニオ猪木酒場』は、雰囲気で勝負していた感もあり、残っていた新宿店もコロナ禍の2020年7月に閉店しました。好感が持てるのは、デビット伊東が経営するラーメン店『でびっと』です。彼は芸能活動を中断してスープの研究をしたり、店にも立ったりするなど精力的に携わり、コロナに負けずに営業をしています。

 昭和のスナックを愛する浅草キッドの玉袋筋太郎さんは、時間のある限り自身の店『スナック玉ちゃん』に出ており、過去にはスナックを案内する番組を担当するなど、勉強を続けています。元プロレスラーの川田利明さんのラーメン店もおいしいと評判ですし、お笑い芸人のたむらけんじさんも焼肉店の経営に成功して15年以上経ちます。このように、有名人の経営者自身がちゃんと経営を学んだり、味にこだわったりしている店ほど、長続きする印象があります」

リスクも大きい有名人の飲食店関与

 有名人が携わる飲食店には、いくつかの経営パターンが存在する。

「大概は値段に見合うおいしさでない限り、一見客はがっかりしてリピーターにはなりません。経営者である有名人に会えずにがっかりした、なんて声も聞きます。

 また、有名人が経営に直接携わるケースのほかに、プロデューサーとして関わるケースもあります。広告塔としてギャランティを得る、利益が分配される、などの条件で契約するわけです。その場合、店が潰れたからといって、有名人が大きな負債を抱えるとは限りません。

 一方で、有名人が悪い飲食店プロデューサーに引っかかり、提供した経営資金を目的外の用途に使われてしまうという例もあります。

 また、飲食店経営で絶対にNGなのが食中毒です。かつて藤本美貴さんがイメージキャラクターを務める焼肉店で食中毒が発生し、店が無期限営業停止処分を受けたことがあります。藤本さんは経営に直接関与していませんでしたが、こうした事故が起きると関わったタレントのイメージダウンにもつながるため、絶対に避けなければなりません」(前出の経営コンサルタント)

 至極当然である。また、有名人の多くは経営に関して素人であるだけに「有能なプロデューサーやマネージャーが必要となる」(同)とも付け加えてくれた。

牛宮城を開店した宮迫の真の狙い

 あるIT企業経営者は、次のような話をしてくれた。

「これは推測ですが、宮迫さんは『牛宮城』の経営を利益追求ではなく、広告宣伝や動画撮影のネタ&場所として考えている気もします。多角的な経営者というのは、常にいくつかの事業を展開しており、それらのプロジェクトに関連性を持たせます。たとえば、クラウドファンディングで集めた資金で絵本を制作して大成功したキングコングの西野亮廣さんの経営理念は秀逸です。

 各事業を『利益を得る事業』『宣伝のための事業』などに分類するわけですが、宮迫さんの場合は『牛宮城』のコストを膨大な宣伝費=先行投資と考えて、これから他の事業と結びつけていくのかもしれません。たとえば、クラウドファンディングで『牛宮城の半額チケットを送ります』などをリターンとして資金を募ることもできますし、『牛宮城』をネタにした動画もかなり撮影できるでしょう」

 前途多難ではあるものの、ビジネスチャンスは少なくない。経営の難しさを味わった宮迫が、どのように今後の活動に関連付けていくか。牛宮城はタレント実業家としての第一歩である。今後に注目したい。

(文=井山良介/経済ライター)

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