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セブン、空中ディスプレイ型セルフレジ導入…製造元のアスカネットとは何者?

文=Business Journal編集部
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アスカネットの公式YouTubeチャンネルより

 ウクライナ情勢の緊迫化で2月14日の東京株式市場は700円を超える下げとなり、日経平均株価は心理的な節目の2万7000円を下回る場面があった。その後、2万6000円を割り込み、3月8日には2万5000円を下回った。底割れ状態といっていい。

 新興市場でも幅広い銘柄で売りが広がったが、デジタル画像処理のアスカネット(東証マザーズ上場)は2月14日、大幅高となった。一時、前日比225円(18.75%)高の1425円をつけ昨年来高値を更新した。終値は125円(10.42%)高の1325円だった。2月17日には1645円、118円高と続伸した。これが昨年来高値である。

 昨年12月30日の大納会の終値は768円だったから、2月17日の終値(1552円)と比較すると株価は2倍になったことになる。アスカネット株が買われた理由としては、セブン-イレブン・ジャパンがアスカネットの非接触・空中ディスプレイ技術をセルフPOS(販売時点情報管理)レジに採用するための実証実験を2月1日から東京都内の6店舗で始めたことがあげられる。今後、本格導入されればアスカネットの業績に貢献するとの期待から買いが集まった。

 セルフPOSはレジ画面を空中に結像し、空中に浮かんだ映像をタッチパネルと同じように操作できる。同様の技術はホテルやオフィスなどの受付機、デジタルサイネージなどで使われているが、POSレジに採用した実証実験は世界で初めてだという。

 デジタルサイネージとは、屋外、店舗、公共空間、交通機関などでディスプレイなどの電子的な表示機器を使って情報を発信するメディアのことである。完全非接触による安全・安心の提供を目的に検証を進めるが、新たな買い物体験を提供することにもつながる。セブンはレジカウンターの省スペース化も図れるので一石三鳥である。

 セルフPOSは空中ディスプレイを製造するアスカネットがタッチパネル付き液晶モジュールを手がける神田工業(兵庫県姫路市、非上場)、三井化学、三井物産プラスチック、東芝テックと共同開発した。

アスカネットの営業の3本柱

 アスカネットの創業者は福田幸雄氏だ。広島県出身。文化服装学院ファッションデザイン科卒。服飾デザイナーなどを経て、1982年、飛鳥写真工芸社を創業。83年、飛鳥写真館として法人化。95年、アスカネットを設立し社長に就任した。2005年、東証マザーズに上場。18年、社長を松尾雄司氏に譲り、会長兼CEOとなったが、20年に退任した。経営の第一線を退いたとはいえ、福田氏はアスカネット株の発行済み株式の23.43%を保有する筆頭株主だ(21年10月末現在)。

 事業は3つに大別される。ひとつはオンラインを利用した遺影写真の作成。葬儀社向けにITサービスの導入を働きかけている。2つ目はプロの写真家、写真愛好家をターゲットにしたフォトブックのデザイン・製本。プロ向けに「AsukaBook」ブランドで海外でも展開。その品質はHot One Awardsを6回受賞するなど評価が高い。米国最大のフォトグラファー団体(PPA)が「米国の写真業界の最も熱い、最も注目を集めた商品・サービス」を表彰するもので、AsukaBookはアルバム部門で連続受賞した。

 3つ目が空中ディスプレイ事業だ。11年3月から、空中に画像を浮かび上がらせる技術の開発を始めた。ディスプレイなどが出す光を空中で結像させて画像として見せる特殊な構造をした「ASKA3D」プレートの製造・販売を行っている。

 17年には長崎県佐世保市のテーマパーク・ハウステンボス内のロボットが運営する「変なホテル」のフロントに、空中に浮かぶ画面に触れるとチェックインができるディスプレイが導入された。アスカネットが電子部品商社の新光商事(東証1部上場)と共同開発したものだ。

 新型コロナウイルスの感染拡大で、空中に浮かぶ画面に触れるだけで操作できる非接触型のタッチパネルへの関心が高まっている。パナソニック、大和ハウス工業とアスカネットは22年1月15日、非接触型のインターホンを使った実証実験を始めた。川崎市内の大和ハウスの分譲マンションのロビーに、パナソニックとアスカネットが開発した画面を触らずに操作ができるインターホンを設置した。

 特殊なパネルと光の反射を利用して部屋番号などの表示が空中に浮かんでいるように見える。指の位置を感知するセンサーとパナソニックのインターホンシステムを組み合わせ、画面に触らずに入居者を呼び出すことができる、優れものだ。

 アスカネットの22年4月期決算の売上高は前期比9%増の62億7000万円、純利益は11%減の2億円の見込みだったが、3月7日、売上高を63億2600万円、純利益を3億1200万円(前期比39%増)に上方修正した。減益から一転、増益になる。

 日経平均株価の急落、マザーズ市場の極端な不振で、このところ足を引っ張られていたアスカネット株は3月8日、1550円(300円高)と急反発した。終値は1509円(259円)高。世界初のPOSレジにアスカネットの技術が採用されれば、技術集約型の新興企業から脱皮する、との期待が芽吹いている。

(文=Business Journal編集部)

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