大手化学メーカーの花王が、2012年7月にサラリーマンを対象に「昼休みにしたいこと(昼食以外)」というアンケートを取ったところ、第1位が「仮眠をとる(56.8%)」、第2位は「ネットで仕事以外の検索をする(38.7%)」、第3位が「お手洗いに行く(37.0%)」(複数回答)という結果となったそうです。
この結果からも、お手洗いに行く間もないくらい忙しい現代サラリーマンの姿が垣間見えます。
●13~16時までの「シエスタ」制度がある企業も
いくら忙しくても、気乗りのしないままダラダラと仕事をしていれば生産性は上がらず、かえって非効率的です。
そこで、昨今お勧めされているのが「昼寝」。先ほどのアンケート結果でも、「昼休みにしたいこと」の1位には「仮眠をとる」が挙がっていました。10分や20分など短時間でも、昼寝をすると頭がスッキリして、午後の仕事もはかどります。さらに、寝る前にコーヒーなどのカフェインを含んだ飲み物を摂取しておくと、昼寝後の目覚めがよくなるそうです。
昼寝といえば、南欧諸国などで一般的になっている「シエスタ」があります。しっかりとランチを取った後に、ゆっくりと休憩。スペインでは、だいたい13~16時くらいがシエスタの時間になっていて、商店、企業、官公庁などの多くが休業になるそうです。
昼食を取る時間もままならない日本に比べて、スペインでは3時間も昼休みがあるなんてうらやましい、と思ってしまいますが、なんと、日本でもこのシエスタを制度として取り入れている企業があります。
大阪のIT関連企業ヒューゴには、ずばり「シエスタ」制度があります。同社では、水曜を除く毎日13~16時がその時間に充てられています。「シエスタを取ることで、午後の業務も集中して行えます」(同社ウェブサイト)とのこと。
●点滴や皇居ラン…「昼休みビジネス」も続々登場
忙しいサラリーマンの昼休憩に注目した、新しいビジネスも生まれています。
例えば、恵比寿にある「TENTEKI 10 恵比寿ガーデンプレイス」。ここは、短時間で受けられる点滴専用のスペースです。予約不要なので、「ちょっと身体がだるいな」と思ったときに、すぐに駆け込むことができます。
「仕事の合間に資料持参でいらっしゃる方や、短時間(約10分)ではありますが、休息を取っていかれる方もいらっしゃいます。リラックスして点滴を受けていただけるよう、カーテンで仕切られた個室で、ゆったり座れるソファー席となっております」(同社広報の林さん)
なお、同スペースはクリニック内にあるため、医師、看護師が常時ついていて、アレルギーや疾患の有無、点滴の適応の是非などは、問診により医師がチェックするとのこと。疲労回復や滋養強壮、デトックスやアンチエイジングに効果的なものなど、様々な点滴メニューがあります。一番人気のメニューは、TENTEKI 10の点滴の基本となるベーシックパック(2000円、総合ビタミンが入っているもの)にブルーパック(3000円、肉体疲労・眼精疲労などに効果的)を追加したものだそうです(なお初診時は、さらに1000円かかります)。
また、ランニングコースでおなじみの皇居周辺には、シャワーやロッカーを備えた「ランニングステーション」が多数登場しています。利用料金は、ビジターであれば、700~900円程度。昼休みに軽くランニングをして、シャワーを浴びてさっぱり気分転換、そして午後の仕事に戻るというのも健康的で、よいリフレッシュになります。
お昼休みは、お昼ご飯を食べて休憩を取り、午後の仕事に備えるための時間として、その名の通り「休む」ことに重きを置いて、少しだけでも仕事から離れて気分をリフレッシュさせれば、仕事がはかどることでしょう。
(文=降旗愛子/デファクトコミュニケーションズ)