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キンドル、購入済み書籍「消える」事象が報告…1年経過すると保証されない?

文=Business Journal編集部
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「Kindle」アプリのダウンロード画面(「App Store」より)

 Amazon Services International LLC(以下、関連会社も含め「アマゾン」と総称)が提供する電子書籍プラットフォーム「Kindle(キンドル)」で、購入済みの電子書籍が「ライブラリ」にも「コンテンツと端末の管理」にも表示されず読むことができなくなったユーザが、カスタマーサービスに問い合わせたところ「購入から1年以上経過したコンテンツは端末から削除すると再ダウンロードが保証されない」との回答が返ってきたとSNS上に投稿し、話題を呼んでいる。なぜそのような事象が発生するのか。また、Kindleに限らずデジタルコンテンツの販売プラットフォームでは同様の事例は起こり得るのか。業界関係者の見解を交えて追ってみたい。

 紙の書籍を保管したり郵送で受け取る手間がなく、重い書籍を持ち運ぶ必要もなく、スマートフォンやタブレットでいつでも・どこでも読むことができる電子書籍。その販売プラットフォームのなかでもっともメジャーな存在なのがKindleだ。実用書などの一般書籍に加えて漫画や雑誌など豊富な品揃えが特徴で、専用のKindle端末のほか、スマートフォンやタブレット、PCにアプリをインストールすれば即注文・即閲覧することができ、過去に購入した多数の書籍をいつでも読めるのが大きなメリットだ。また、対象の書籍が読み放題になる月額980円のサブスク型サービス「Kindle Unlimited」も加入者を増やしている。

 そんなKindleで購入済み書籍が閲覧できない事象が発生しているという報告がSNS上で話題を呼んでいる。アマゾンなどで書籍を購入する際に「Kindle版(電子書籍)」を選択すると、Kindleアプリの「ライブラリ」上に表示され、いったん端末にダウンロードした書籍はインターネットに接続せずとも閲覧が可能となる。今回X(旧Twitter)上にポストしたユーザによれば、過去に購入した複数の書籍について注文履歴には表示されるものの、Kindleのライブラリにも「コンテンツと端末の管理」画面にも表示されず、再ダウンロードができなかったため、カスタマーサービスに問い合わせたところ「購入から1年以上経過したコンテンツは端末から削除すると再ダウンロードが保証されない」との返答が寄せられたというのだ。

利用規約の定め

 アマゾンで個別の書籍のKindle版を購入するページ上には、1年以上経過後の再ダウンロードが保証されない旨の記載は見当たらない。また、「AMAZON KINDLEストア利用規約」にも当該記述はない一方、以下の定めが存在する。

<Kindleコンテンツは、コンテンツプロバイダーからお客様にライセンスが提供されるものであり、販売されるものではありません。コンテンツプロバイダーは、Kindleコンテンツにおいてその使用に関してその他の規定を定める場合があります>

<Amazonは、本サービスの全部または一部を、通知なしにいつでも変更、停止または中断することがあり、これには、本サービスに定額購読コンテンツを通知なく追加または削除することが含まれます>

 また、アマゾンのサイト上の「ヘルプ&カスタマーサービス」では「Kindle本がライブラリに表示されない」場合への対処法として以下のようにアナウンスしている。

<本がアプリに表示されませんか? これらのトラブルシューティングの手順をお試しください。

・お使いのモバイル端末またはコンピューターがインターネットに接続されていることを確認します。
・Kindle無料アプリを同期します。
・Kindle無料アプリをアップデートします。
・Whispersyncがオンになっていることを確認します。
・注文履歴で、購入が正常に完了していること、また、支払方法に問題がないことを確認します。
・コンテンツと端末の管理を使用して、ご希望のデバイスに本を配信します。
・アプリが正しいAmazonアカウントに登録されていることを確認します。複数のアカウントをお持ちの場合は、別のアカウントで本を購入されている可能性があります。
・アプリを登録解除して再登録します。
・Kindle無料アプリをアンインストールして再インストールします。ライブラリ全体を再度ダウンロードする必要があるため、この手順は最後にお試しください>

 もっとも、今回のケースではカスタマーサービスが「購入から1年以上経過したコンテンツは端末から削除すると再ダウンロードが保証されない」と回答しており、上記方法で解消される問題ではないと考えられる。

起こり得る事態

 Kindleでは過去にも同様の事例が発生したことがある。一昨年の2022年、米国のAmazon.comと日本のAmazon.co.jpの両方のアカウントを保持していたユーザが「アカウント結合」を行い、さらにAmazon.comのアカウントを削除したところ、過去にAmazon.co.jpで購入したKindleの書籍がすべて消えてしまうという事象が発生。カスタマーサービスとやりとりした結果、いったんはライブラリから消滅した書籍を復活させることができたユーザもいた。

 ネット企業に勤務するEC運用担当者はいう。

「紙の書籍やDVDでは著作権者側の事情で販売が終了となるケースがあるが、これがデジタルコンテンツの場合、ユーザが自分の端末にダウンロードしていないと利用できなくなるという事態が起こり得る。プラットフォーマーとしては、利用規約の決まり文句である『本サービスの全部または一部を通知なしにいつでも停止・中断できますよ』という文言で事前に購入者の同意を得ている、というスタンス。購入したコンテンツを勝手に『消された』ユーザ側としては納得いかないだろうが、プラットフォーマー側の道義的な責任はさておき、どうしようもないというのが実情だろう」

 Business Journalはアマゾンジャパンに見解を問い合わせ中であり、回答を入手次第、追記する。

(文=Business Journal編集部)

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