ファミリーマートが2月27日に全国の店舗で発売した「生しっとりパン」が、累計販売数合計が発売から15日間で500万食突破する大ヒットとなっている。実際に食べた人たちからも、「うますぎる」「一気に3個くらい食べちゃって危険」「何度でもリピートできる」など絶賛するコメントが相次いでいる。
今回大きな反響を呼んでいる「生しっとりパン」は、ファミマのプライベートブランドである「ファミマル」のパンカテゴリー「ファミマルBakery(ファミマルベーカリー)」から発売された。ファミマルは2021年に始まり、2023年10月にパンカテゴリーが新設された。
そのファミマルベーカリーが、生地に生クリームを加えてしっとりかつもちっとした「生コッペパン」を発売すると、累計1億2000万食を超える大ヒット商品となった。そして今回、さらに生地に改良を加えた「生コッペパン」のシリーズ商品として「白生コッペパン(カスタード&ホイップ)」「生コッペパン(コロッケ)」、サクサクのイメージであるクロワッサンを「しっとりふんわり」させた「生クロワッサン(ダブルチョコ)」を発売。すると、ネット上で絶賛する声が噴出したのだ。
そこでBusiness Journal編集部はファミマ広報部に、生しっとりパンの開発の狙いやこだわったポイントなどについて話を聞いた。
――本商品(生しっとりパン)のターゲット層、実際に購入されている客層をお教えいただけますでしょうか。
ファミマ広報部「年齢、性別を問わず、幅広い層のお客様をターゲットとしています。
一見、男性のお客様向きと思われる『生コッペパン(コロッケ)』を女性のお客様にもご購入いただき、女性のお客様に人気の白生地を使用した『白生コッペパン』を男性のお客様にもご購入いただいております。今回の3品は、パンの客層とほぼ同じ傾向で、メイン客層にもしっかり購入頂いていました」
――「生しっとりパン」の発売からの販売状況はいかがでしょうか。
ファミマ広報部「累計販売数500万食突破しました」
――本商品(生しっとりパン)で、もっともこだわっているポイントはどこでしょうか。
ファミマ広報部「生コッペパンは、パサパサのイメージがあったコッペパンに『生』を組みわせることで、お客様が驚くような『これまでのイメージとのギャップ』を持っていただけたのが良かったのかと考えております。支持されている『生』のしっとりとしたイメージを崩さないように、しっとりとした食感の商品を展開することで新たな驚きを提供できればと考え開発しました。
【生クロワッサン・白生コッペパン】
生クロワッサンは『しっとり』するだけでは美味しくなく、『ふんわり』との両立が絶対条件でした。『しっとり』だけではクロワッサンの内層が潰れ、ベチャっとした生地になってしまいます。
そこで、しっとりしながら内層にしっかりとした層の空洞を作るために折り込み回数を工夫し、さらにわざと油脂を不均一に折り込むという『パンの常識では考えられない』生地が出来上がりました。
白生コッペに使用している『白生地』は、女性に人気が高い生地ですが、焼き色を付けないために低温で焼き上げます。そのため火通りが悪く くちどけが悪いクチャついた生地になったり、焼きすぎるとパサついたりする難しさがありました。今回は『しっとりもっちり』と『くちどけ』を両立させるため、配合や焼き方を試行錯誤し、ようやく完成させることができました。
【生コッペパン(コロッケ)】
これまでの惣菜パン用の生コッペ生地とは違うコロッケパン専用の生地を開発し、コロッケのボリュームに負けない弾力を感じていただける生地に仕上げました。工夫した点は、パン生地は時間が経過しても、弾力のある生地食感が保てるよう、原料や配合を何度も試しました。また味付けは、特徴の異なる2種類のソースを使用することで、コロッケとコッペパンの一体感が楽しめるように仕上げました」
――「生コッペパン」 シリーズが好評ですが、どのような体制で開発・製造しているのでしょうか。
ファミマ広報部「市場調査については、当社の開発担当者だけではなく、製造メーカーさん、原材料メーカーさんなどを含めた『開発チーム』で実施しています。市場調査は必ず目的を具体的に共有してから、4~5チームに分かれて買い回りを行います。一度に約100種類を全員で試食し、言葉だけでは伝わらない食感や味を全員で共有することで商品の精度を高めています」
――「生コッペパン」シリーズの累計販売数はどのくらいでしょうか。
ファミマ広報部「累計販売数1億2000万食突破(2023年2月28日から2024年2月15日までの『生コッペパン』シリーズ累計販売数合計)です」
――そもそもファミマベーカリーは豊富なラインナップや若者受けするレパートリーが人気ですが、御社にとってパンは日配の中でどのような位置づけなのでしょうか。
ファミマ広報部「パンはコンビニ中食のなかでも『最も安価に楽しめる食事』であり、毎日忙しいお客様の『日常の食事』です。決してハレの日の食事ではなく、豪華さや贅沢さはありません。
しかし、パンを選ぶことの楽しさや、何気なく選んだパンが美味しかった時の喜びを通じて、お客様の忙しい日常を『ちょっとだけイイ日』にするお手伝いができます。定番のパンが美味しいコンビニであるのとともに、楽しさやワクワクをお届けしたいという想いで豊富なラインナップを展開しています。ご来店いただいたどんなお客様にとっても、きっと欲しいパンが見つけられる品揃えを目指しています」
高額、高級な商品ではなく、「安価に楽しめる食事」としてのパンを、消費者のイメージを覆す商品として提供することを追求しているファミマの姿勢が、購入した人たちの心に刺さった結果が、今回のネット上の高評価につながっているのだろう。
(文=Business Journal編集部)