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フジ人気ドラマも…テレビ局、ロケで一般人に怒鳴り「通るな」「移動しろ」

文=Business Journal編集部
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「gettyimages」より

 公園で子どもを遊ばせていたところ、フジテレビ系の人気ドラマシリーズ『ミステリと言う勿れ』の撮影スタッフから撮影が始まるからという理由で強引に移動させられ子どもが泣いた経験があるため、同シリーズのことが大嫌いになったというエピソードがX(旧Twitter)上に投稿され、一部で話題を呼んでいる。X上では似たような経験があるという反応が多数寄せられているが、テレビ局スタッフによる一般人への横柄な取材協力というのは多いものなのか。業界関係者の見解を交えて追ってみたい。

 ドラマやバラエティ、情報番組の撮影のため、街なかで撮影スタッフが一般人の通行を止めたり、移動させたりすることは珍しくないが、少し前にあるXユーザは『ミステリと言う勿れ』の投稿を引用しつつ次のように投稿。

<野田の公園で娘とすべり台で遊んでる時にスタッフらしき人々から「撮影スタートするんで今すぐ写らないところに行ってください」って強引に移動させられて娘が泣いてたからもうこのシリーズ大嫌い>

 これに対し、他のユーザからも似たような経験があるとして以下のようにさまざまな反応が寄せられている。

<桜の花見をしていたらこのドラマの撮影があるからといって退散させられました。せめて桜の写真でも撮ろうとスマホ出したら、遠くから大声で注意されて悲しくなった>

<自宅マンション前でドラマ撮影されてて、残業で疲れてたから無視して入ろうとしたらスタッフの男に腕を掴まれて怒鳴られました>

<入院中の病院でリハビリのため院内を歩いていたら、いきなり「おい!近づくんじねえ!」と大声で怒鳴られました。ドラマの撮影スタッフのようですが、撮影中などの告知も案内板もないので、こちらは全く知りませんでした>

<撮影してて、メイン通路で撮影するので絶対通らないでください、映りこまないでくださいって高圧的に注意された>

<何かの撮影で前の職場の工場近くで撮影あった時に、音うるさいから作業やめろって言われた>

NHKでもトラブル

 テレビ撮影スタッフによる“人止め”“人ばらい”をめぐっては、これまでたびたび問題化して議論を呼んできた。2022年、NHKの番組クルーが群馬県・尾瀬国立公園内にある湿原の木道で、「只今NHKの番組の撮影中です。10分少々お待ち下さい。お騒がせして申し訳ありませんが、ご協力の程宜しくお願い致します」と書かれたパネルを掲げて、約10分間にわたり一般人の通行を止め、苦情が続出。公演を管轄する環境省は「ハイカーなどの迷惑にならないようにと行政指導はしており、通行止めにしたとすれば、その指導が守られなかったことになります」(22年6月10日付「J-CASTニュース」記事より)とのコメントを発表した。

 今年3月にはフジテレビ系のバラエティ番組『逃走中』の番組クルーが一般人宅の入り口を塞ぎ、敷地を無断で使用して収録を行い、公道の歩行者の通行を妨害。さらに公道上で出演者たちが走ったり叫び声をあげたため近隣住民が警察に通報する騒動に発展し、制作会社が謝罪コメントを発表するという事態も起きていた。

スタッフが横柄な態度になる理由

 テレビ制作プロデューサーはいう。

「人止めや人よけをするのはテレビ局の人間ではなく、局の下請けのテレビ制作会社のAD(アシスタントディレクター)など一番下っ端のスタッフなので、モノの言い方を知らないスタッフが失礼な言い方をしてしまうことはある。ADはプロデューサーやディレクターから『ちょっと人止めといて』と言われて、止められないで収録が始められなかったり撮り直しになると怒られるので、その焦りから一般人に対して強い態度になってしまうこともあるだろう。

 ここ数年は世間がテレビに抱くイメージが悪くなっているので、公道で撮影している際に『申し訳ございませんが、こっちのほうをお通りいただけますでしょうか』とお願いすると、舌打ちされたり、『マスゴミ』と言われるというのは日常茶飯事。食べ歩き番組で飲食店の店内で撮影する際にも、他のお客さんに『すみませんが、顔が映ってもよいでしょうか』と確認して、嫌だと言われて『あちらの席を移っていただくことは可能でしょうか』とお願いすると、『なんで私たちが移動しなければならないのか』という態度をあからさまに示されるが、向こうにしてみればテレビ収録のために行動の制限を受けたり指図される理由はないので、当たり前といえば当たり前でしょう。ロケをやっていると、いかにテレビが世間から嫌われてるのかがわかるが、一般人から毎日そういう態度を示されていると、いちいち下手に出てお願いするのがバカらしいと感じて気を遣うのをやめて横柄な態度になるスタッフもいるだろう。

 また、バラエティや情報番組の場合は、人が多少映り込んでも問題ないが、ドラマの場合はしっかりと長時間にわたり人を止めたりしなければならないので、ドラマのほうが大変だとは思う」

 かつてと比べると、テレビ制作側の姿勢はかなり低くなったという。

「20年くらい前は公道などで、まるで自分が警察官かのように『撮影中なので10分だけ通らないでください』などと言っていましたが、当時は一般人が文句を言おうと思ったらテレビ局に電話するくらいしか手段がなかったので、言われたほうは不満ながらも『仕方ないな』と諦めてくれていた。今はすぐにSNSで投稿されてネットニュースにでもなれば批判にさらされてしまう。なので、制作会社はテレビ局から『絶対に一般人とトラブルを起こすな』と厳しく言われて、かなり気を遣うようにはなっているし、極力、通行止めをしないように努めるようになってはいる。とはいえ、実際に人止めする制作会社の若いスタッフは低賃金で長時間働かされて疲労していることもあり、また人を止められないとディレクターなどに怒られるので、どうしても態度が悪くなってしまうことはあるだろう」(同)

(文=Business Journal編集部)

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