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快適なハイエンド体験ができるスマホで8万円台、「arrows Alpha」の破壊力…従来のハイエンド機種と遜色なし

2025.07.10 2025.07.09 14:55 企業
FCNTの公式サイトより
FCNTの公式サイトより

●この記事のポイント
・10万円台後半~20万円台と高価格なハイエンドスマホ市場に一石を投じる8万円台の「arrows Alpha」が登場
・ハイエンド体験を行うために必要なスペックと機能はひととおり揃えた上で、IP6Xの防塵性能、IPX6/8/9の最高水準の防水性能、MIL規格23項目への準拠、独自の画面が割れにくくなる構造など、高い耐久性も備えている
・90Wの急速充電を導入でも電池にやさしく、2日間の電池持ちが5年間続く

 10万円台後半~20万円台も当たり前になったハイエンドスマホ。そのジャンルにFCNTが8万円台という低価格の新型スマートフォン「arrows Alpha」を8月に投入すると発表し、話題を呼んでいる。ハイエンド体験を享受するのに必要なスペックと機能をひととおり揃え、防水・防塵性能で高い耐久性を備えているにもかかわらず、なぜ圧倒的な低価格を実現できたのか。また、より高価格帯のハイエンドスマホと比較して「こういう点は我慢する必要がある」といった点はあるのか。FCNTへの取材を交えて追ってみたい。

●目次

まず「9万円以下」という目標価格設定

 今回、8万円台という低価格のハイエンドスマホを投入するに至った背景について、FCNTは次のように説明する。

「15~20万円のスマホは一部の人は買えますが、多くの人は手に届きづらいという価格帯になっており、ハイエンドスマホのマーケット規模は縮小傾向にあります。2サイクルくらい前の時代には10万円ほどで買えたのですが、今の価格は高過ぎて以前はハイエンド端末を購入していた人でも購入を控える、ということも起こっています。ハイエンドモデルでこそ享受できる、AI機能や進化したゲーム体験などのイノベーションを端末価格が高いから体験できないという状況は、日本のデジタル発展を阻害する社会課題でもあるという認識を弊社は持っていました。そうしたなかで、消費者の方々の経済的事情や支払いの壁などを考慮した際に、実売価格で9万円以下のスマホをお届けするには、どういうものを作ればいいのかというところにもっとも重きを置き、FCNTが9万円以下でハイエンドモデルを投入することには大きな社会的意義があるという認識に立ち、チャレンジをしたという経緯です。

 価格を高くすればするほど、当然、より高スペックのものをつくれますが、まず上限を9万円と決めて、どういう仕上がりにすればいいのかと、とことん突き詰めて考えていったというのが今回のプロジェクトであり、『価格もスペックの一つである』ととらえて全体的に検討してまいりました」

 なぜ8万円台という価格を実現できたのか。

「弊社はレノボグループの傘下になり、従来と比較して部品の調達コストを抑えられるようになり、グローバルモデルと共通の部品選定を一部することによって、コスト効率性を上げることができました。また、8万円台を実現するために、お客様に対して還元していきたいという思いから、戦略的に価格を設定している部分もあります。

 弊社は継続してお客様のニーズをリサーチしていますが、CPU性能と同じくらい堅牢性やRAM・ROMの容量、耐環境性へのニーズが高いので、それらのバランスをいかに取るのかを重要視しました。新しいテクノロジーやAI機能を取り入れるなかで、“使いやすさ”というところに対して何か手当てをできないかという点も注力しました。今回の機種では、左側面に物理キーとしてアクションキーを用意していますが、単押しと長押しとダブルクリック、それぞれにAIだけではなく、ユーザーがダウンロードしたアプリも含めてショートカットで起動できるようにしております。AI利用において、従来のホームキーや電源キーの長押しという動作には心理的敷居があるのではないかと捉えており、商品企画の最初の段階から、長押しという障壁をなくしたいという思いがあったためです。そういった考え方から、AIの使い勝手をアクションキーという形で昇華させました。

 AI以外の利用においても、例えば、アクションキーにQR決済アプリを割り当てて、スマートに決済するなど、個々のユーザーにとって使い勝手が良いかたちにカスタマイズできるように仕立てております。(FCNT)

単純にCPU性能だけでは測れない快適さ

「arrows Alpha」はSoC(プロセッサ)としてミドルハイスペック端末向けのMediaTek製「Dimensity 8350 Extreme」を採用しており、メモリはハイエンドモデルでも一般的な12GBを搭載している。より高価格帯のハイエンドスマホと比較して、「こういう点はやや我慢していただく必要がある」という点はあるのか。

「弊社がターゲットとしているユーザー層は、これまではハイエンドスマホを使っていたけれども価格が上がってもう手が届きづらいと感じているユーザー様が多いです。そのようなユーザー層の方々は、CPU性能の優先順位が相対的には高くはなく、長期利用に資する仕立てやRAM・ROMの大容量へのニーズが高い傾向と捉えています。『arrows Alpha』のように512GBのROMがついて、さらにSDカードで拡張性が持てるという機種は他にほとんどなく、単純にCPU性能だけでは測れない快適さをご提供できると考えております。

 また、ハイエンドクラスのユーザー様には2~3年ぐらいで買い替えるサイクルの方が多いですが、arrows Alphaは5年間のセキュリティ更新を保証して長期利用の間も快適にお使いいただけるように、電池の持ちの改善、高い堅牢性・防水性の確保にも注力しております。

 より高い性能のSoCを採用する意味というのを改めて考えたときに、その実質的なメリットをどれだけの方々が享受できているのかというのは、非常に難しい面もあります。SoCも多数のバリエーションが出てきて、以前と比べてかなり複雑化しており、ベンチマークとして高いスコアを取ったとしても、それが実利用にどこまでリンクしてるのかは評価が難しいです。

 今回私たちが『Dimensity 8350 Extreme』を採用した理由の一つとして、オンデバイスでAIを動かせるというのが大きなポイントとなっています。例えばベンチマークテストでスコアが高くても、オンデバイスでAIが動かなければ、私たちが提供したい体験の広がりを実現するためには理想的ではないということになります。ワンランク上のSoCと比較してCPU性能は落ちるものの、AIパフォーマンスがでるということになれば、実勢品質としては劣っているとはいえないのではないでしょうか。

 今回、私たちはSoCに対してさまざまなチューニングを個別でやらせていただいており、『このチップセットだったら我々が提供したいユーザー体験というものを実現できる』というレベルにまで引き上げています。そういう意味も含めて、かなり魅力的なチップセット性能にできたと自負してるところでもあります」

2日間の電池持ちが5年間続く

 そのほかにも「arrows Alpha」には魅力的な特徴が多く詰まっているという。

「日本人は外国の方々と比較して少し手が小さいので、幅72ミリ以下にするという点にはこだわりました。そのなかで最大限のフラグシップ性能のディスプレイを用意したいといことで、今回6.4インチのディスプレイを採用し、LTPOという可変のリフレッシュレートも採用しております。1Hzから144Hzまでシーンに応じて変えられ、ユーザー様が滑らかに動いてほしいところに対しては滑らかに動くようにし、静止画は1Hzで動くようにしたりして、高い省電力性を実現しております。画面も明るく、解像度も高く、お客様が常に見て触って感じるディスプレイに関してはコストをかけています。

 2日間の電池持ちが5年間続くという点を実現しつつ、90Wの急速充電も可能になっており、充電1%状態から35分で100%まで持っていけるようにしました。全体的にスペックに関しては10万円を優に超えるハイエンドモデル級のスペックになっていると考えております」

(文=BUSINESS JOURNAL編集部)