“一人”はま寿司も定着…はま寿司、回転寿司業界1位が目前、寿司だけで150種類の独自戦略

●この記事のポイント
・はま寿司の業績が伸長、店舗数がスシローに肉薄、年内には1位に躍り出るとの見方
・一人客も増え「“一人”はま寿司」を楽しむ客の姿もお馴染みの光景に
・110円の寿司メニューは約80種以上、寿司メニュー全体では常に約150種類を提供
はま寿司の業績が伸長している。国内回転寿司チェーンではスシローに次いで2位のポジションだが、店舗数が増加しており、今年3月時点の国内店舗数は639店舗と、スシローの650店舗に肉薄。年内には1位に躍り出るとの見方も強い。ファミリー客や友人同士のグループ客が多いというイメージが強いが、最近では一人客も増え「“一人”はま寿司」を楽しむ客の姿もお馴染みの光景となった。くら寿司も加えて大手回転寿司チェーン3社とも業績は好調で高い集客力を誇っているが、その戦略には大きな差があるという。そこで今回は、はま寿司への取材をもとに、同チェーンの強さの秘密を探ってみた。
●目次
そば・うどん類だけで約10種類
はま寿司の運営元は、牛丼チェーン「すき家」、ファミリーレストラン「ココス」、ハンバーガーチェーン「ロッテリア」などを展開する国内外食業界の最大手、ゼンショーホールディングス。はま寿司は国内回転寿司市場における売上・店舗数1位を目標に掲げて、投資を加速。一方、海外展開にも積極的で、現地の寿司チェーンのM&Aを進めている。
はま寿司の特徴といえば、「メニューの数が豊富」「低価格」という点だ。価格的には110円(税込み/店舗によって異なる)という低価格メニューが豊富に揃っており、寿司メニュー全体では常に約150種類が提供されている。「豚塩カルビ 旨辛ネギ盛り」(176円)、「生ハムマヨアボカド」(同)、「カリフォルニアロール」(同)といったユニークなものから、「本鮪中とろ食べ比べ」(中とろ・レアステーキ)(319円)など“至福の一貫”までバリエーションも豊富だ。このほか、30種類以上あるサイドメニューは、そば・うどん類だけで約10種類、ラーメン類だけで4種類あり、デザート・ドリンク類は30種類以上が揃っている(25年6月末現在)。本部として強く意識している点について、はま寿司 広報担当はいう。
「家族でもおひとり様でも楽しめる業態であり、商品のおいしさと豊富なバリエーション、お手頃な価格にこだわっていることが、お客様の満足度につながっているのではないかと受け止めています。100円(税込110円)のお寿司を約80種以上提供していることも、はま寿司ならではの取り組みだと考えています」
寿司をはじめとする料理のクオリティ向上についても、強いこだわりを持っているという。
「はま寿司のシャリは国産米を100%使用し、北海道昆布と一緒にふっくら炊き上げています。また、いつでも作りたてのおいしさを提供するために、食材の加工や調理の多くを店舗で行っています」
「はまカフェラボ」
はま寿司といえば、スイーツ類の豊富さも人気の理由だ。ここでも同社独自のユニークな取り組みが結果に結びついている。
「スイーツメニューの商品開発においては、スイーツが好きでお客様に喜んでいただくことに情熱を燃やすメンバーが部署の垣根を越えて集まり、日々のトレンドや人気店をリサーチしながら研究開発を行う『はまカフェラボ』という取り組みを行っています」
一人客が増加しているとのことだが、店舗には人気ラーメンチェーン「一蘭」でお馴染みの横の席との仕切りがついた一人用カウンター席が設置されている。一人客の増加のための施策は何か行っているのか。
「おひとりでご来店のお客様の増加について、詳細の数値は控えますが、おひとり様でもご利用いただきやすいカウンター席の設置や、食べきれる量やサイズの展開については実際に意識しています。おひとり様でもさまざまな商品を手軽に楽しめることは、お客様に喜んでいただけるポイントだと捉えています」
もっとも、はま寿司は一人客に限らず、すべての属性のお客を意識した店舗づくりを目指しているという。
「おひとり様だけをターゲットにしているのではなく、より幅広い層のお客様に喜んでいただけるよう、さまざまな取り組みを行っています。例えば、小さなお子様をお連れの方でもご利用しやすいようにキッズメニュー(はまっこセット)を揃えているほか、お子様用の椅子やお子様用のエプロンなどもご用意しています。今後も安全で新鮮なおいしいお寿司を手軽な価格で提供し、世界一の寿司チェーンを目指してまいります」
(文=BUSINESS JOURNAL編集部)











