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亀田製菓、実は海外事業比率40%の「グローバル企業」の素顔…北米の売上745億円への戦略

2025.08.15 2025.08.14 15:39 企業
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亀田製菓の公式サイトより

●この記事のポイント
・亀田製菓、2030年代前半に北米事業の売上高を745億円まで成長させる戦略を描く
・北米で取り組んできた構造変革による営業赤字の減少が奏功し、海外事業として初めての黒字化を達成
・北米でのグルテンフリー市場の深耕、アジアでのOEMビジネスおよび内販拡大、国を超えたクロスボーダー取引の3本柱

「亀田の柿の種」「ハッピーターン」「ソフトサラダ」などで知られる大手製菓メーカー・亀田製菓の業績が伸びている。2026年3月期の連結純利益は前期比4.5倍の242億円となる見通しだが、実は売上高における海外事業比率が約40%(米THフーズ連結子会社化後)に上るグローバル企業という顔を持つ。ベトナム・タイ・中国などアジア市場に加え、2030年代前半に北米事業の売上高を745億円と、25年3月期の約10倍にまで成長させる戦略を描くなど、海外事業の強化に注力している。そんな亀田製菓の海外進出加速の舞台裏に迫る。

●目次

各国のお客様の嗜好に合わせた商品開発

 まず、近年の海外事業の状況について、亀田製菓 執行役員 海外事業部長 堀部宏幸氏は次のように説明する。

「24年度の海外事業の実績は売上高172億3900万円(前年比114.2%)、営業利益1億3500万円で着地しました(海外事業の業績推移は以下をご参照ください)。好調なアジア事業での売上と営業利益の拡大、北米で取り組んできた構造変革による営業赤字の減少が奏功し、海外事業として初めての黒字化を達成しました。国別では、アジアのベトナム・タイが特に好調に推移しています。ベトナムは主力商品『ICHi』の販売強化、タイは輸出拡大が好実績につながりました。

年度  売上高    営業利益
2020  7,597   -376
2021  9,183   -278
2022  13,751   -589
2023  15,096   -413
2024  17,239     135
(単位:百万円)」

 海外事業の成長のために、具体的にどのような取り組みを展開してきたのか。

「海外事業は、北米でのグルテンフリー市場の深耕、アジアでのOEMビジネスおよび内販拡大、国を超えたクロスボーダー取引の3本柱で事業拡大を目指しています。北米事業においては、先日THフーズ社の連結化に向けて動き出すことを決定いたしました。これにより、亀田製菓の売上高における海外事業比率は約40%になります。現在は日本のうす焼の技術をいかしたライスクラッカーを販売していますが、亀田製菓が創業以来培ってきた米菓の加工技術を活かしてラインナップ強化を行い、北米のライスクラッカー市場のさらなる深耕を図ります。

 アジア事業においては、ベトナムと中国で内販強化を行っています。日本のグローバル技術開発部、マーケティング戦略本部とも連携し、各国のお客様の嗜好に合わせた商品開発を行っています」

OEMで稼いだ利益をブランド事業に投資する好循環

 現在、特にベトナム市場に力を入れているという。

「ベトナムのTHIEN HA KAMEDA,JSC.が非常に好調に推移しています。これまで自国で生産した商品を国内で販売する内販が中心でしたが、ベトナムで生産した商品をアメリカほかに輸出するクロスボーダー取引もスタートさせています。ベトナムでは日本の『揚一番』のような揚げせんべい『ICHi』を主力商品として展開しており、国内の3工場で生産しています。24年7月には『ICHi』のリブランディングを行い、より若い世代の方にも親しみをもっていただけるパッケージに変更、加えて、味替え商品も発売しており、ブランド拡張を図っています。これにより8月は前年比で10%近く売上伸長いたしました」

 今後の海外事業伸長に向けた戦略・計画については次のように説明する。

「現中期経営計画で定めているようにブランド事業とOEM事業の両輪で拡大、OEMで稼いだ利益をブランド事業に投資する好循環を実現し、事業拡大を続けていきます。 亀田製菓のコアコンピタンスである『お米の加工技術』と『各国の生活者の嗜好に合わせたローカライズ』により、唯一無二の価値を提供することで2026年の中計目標(売上高180億円、営業利益率3.0%以上)の結果を狙っていきます」

(文=BUSINESS JOURNAL編集部)