「ガラポンTV」とは、これまでの録画機のようにあらかじめ観たい番組を予約するのではなく、電源を入れるだけでワンセグ仕様の映像が地上波8チャンネルすべての番組を2週間分、外付けHDDを接続すれば4カ月分、自動的に録画できる機器だ。
こうしたいわゆる“全録機”は複数出ているが、「ガラポンTV」の特徴は録画した映像をスマートフォン(スマホ)やタブレットで、インターネットを経由して、好きな場所で好きな時間に観られること。そして、4万1800円(税込)という本体価格の安さだ。
この画期的な機器を開発・販売する株式会社ガラポン社長の保田歩氏が、昨年12月に『文系の僕はテレビ視聴の革命めざし家電メーカーを起業した』(日経BP社)を上梓した。
今回、その保田氏に、
・なぜテレビ番組を全録する家電メーカーを起業したのか
・今後の展開や競合他社との違い
などについて話を聞いた。
●テレビを持っていなかったのに、全録機を事業に選んだ理由
–起業してから4年たち、事業は軌道に乗ってきていますか?
保田歩氏(以下、保田) いえいえ、まだまだこれからです。ただ、今期は通期で黒字決算の予定です。
–本書を読んで、大学から20代中盤までテレビを持っていなかったということには驚きました。
保田 大学に入学した頃から、前職(ヤフー)でテレビ関係の新規事業に携わる27歳頃までの約10年間、テレビを持っていなかったですし、スポーツバーでサッカー観戦したことを除き、ほとんどテレビ番組を観ていませんでした。テレビ関係の新規事業に関わるのにテレビを持っていないのはさすがにマズいと思い、購入しました。でも、その時は、まだテレビ番組のすごさに気がついていなくて、大手芸能プロダクションと動画サービスを立ち上げて、芸人さんや放送作家さんたちとオリジナル動画を制作・配信したのはいいのですが、なかなかうまくいきませんでした。そうして動画制作の難しさを知ると同時に、既存のテレビ番組のクオリティの高さをあらためて実感しました。