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テレビ地上波全録「ガラポンTV」なぜ人気?いつでもどこでも視聴可、SNSとの融合…

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–予算もネット番組の比ではないですしね。

保田 そうなんです。テレビを持っていない頃は、「テレビ番組なんて、所詮は毒抜きされた当たり障りのない情報で、衝撃的な情報はネットにしかない」と思い込んでいました。しかし、自分で動画制作に取り組んでからは、180度考えが変わりました。ネットでいくら新しいコンテンツをつくっても、クオリティの面でテレビ番組には勝てないと実感しました。だったら、こんなに面白いテレビ番組をいっそのこと、どこでもネットを経由して観られるようにしたらいいんじゃないかという、逆の発想で起業を考えました。

–しかし、これまで誰もやっていないことですし、もし著作権などの法律的な問題がないならば、すでに家電メーカーがやっているはずだとは考えませんでしたか?

保田 調べればわかることなのですが、「ガラポンTV」のようにテレビ番組を私的に録画して楽しむことは著作権法上、何も問題はありません。このことについては、弁護士のお墨付きもあります。ではなぜ、これまで誰もつくらなかったのでしょうか? それは、実現をあきらめて「考えるのをやめた」からだと思います。このビジネスモデルを実現するには、テレビ番組の権利関係に精通していて、オリジナルの家電=ハードウェアを企画・製造できて、インターネットサービスも構築できる、これらすべての要素を満たすことが必要です。

「権利的によくわからないから」「ハードウェアをつくるなんて、難易度高すぎて無理」「ネットサービスなんて構築したことないし、自信がない」など、自分で納得できる理由をつくり出し、その先を考えた人がいなかったのではないでしょうか。

 私は、そこでとことん考え抜いたんです。そこが明暗をわけた分水嶺です。自分が心から欲しいと思うものは、きっと世界の皆も欲しいはずで、それを手に入れることができる世界は今よりも素晴らしいものであると確信しているからこそ、あきらめずに考え続けることができます。考え続ければ、きっと解決策は見つかり、実現できるはずです。本書では、そういうことを伝えたかったんです。

–自分が欲しいものを追求するというのは、もともとそういう性格ですか?

保田 以前、ネットでオリジナルのアパレル製品を販売したり、バンドを組んだり、陶芸をしたりしていましたが、そういった取り組みをしている時と気持ちは変わらないです。面白いことを考えて行動を起こせば、それに共感してくれる人は必ずいるはずだと考えています。だから、周りから「起業はリスクが高い」とか言われますけど、やればできるんです。

–好きで、やりたいことなら、多少つらくても我慢できるということですね。

保田 つらくないですね。そもそも、苦労しないで実現できることなんて、つまらないことだと思います。

●他社製品との違い

–似たような全録機では、「SPIDER」が有名ですが、違いはどこにありますか?

保田 大きな違いは2つあります。1つは視聴場所の違いです。「SPIDER」はテレビの前だけでしか視聴できないのに対し、「ガラポンTV」は家の中はもちろん、外出先でもスマホやタブレットで観ることができる点です。

 もう1つの大きな違いは、「ガラポンTV」には、きちんと機能しているソーシャルコミュニティの「ガラポンTVサイト」があります。全番組録画する機器をつくった後に浮かぶ次の課題は「どの番組を観るべきか」ということにあります。検索方法は非常に重要で、番組単位だけでなく場面単位で検索できる機能は「ガラポンTV」だけでなく、「SPIDER」や大手家電メーカーの全録機にも搭載されています。

 しかし、検索よりも重要だと考えているのはソーシャルネットワーク(SNS)で、「ガラポンTVサイト」というSNSを立ち上げ、これが機能している状態を維持し続けています。「ガラポンTV」で番組を観たユーザーが、番組に対し評価やレビューをSNSに毎日いくつも投稿し続けてくれていて、その情報が他のユーザーの番組探しの参考になっています。口コミのグルメサイト「食べログ」のテレビ番組版のようになっています。

–そうすると、4カ月分の番組を全録しているわけですから、SNSでレビューの高かった番組を後から観ることもできるわけですね。

保田 そこがポイントです。自分が番組表をせっせとチェックして録画予約している番組とはまったく違う、今まで観たこともなかったようなテレビ番組と出会えるんです。1日約300番組、1週間で2000番組以上が放送されている中で、全部自分でチェックできるわけがないですし、自分の趣味嗜好に従って録画予約した番組しか知らないのは、あまりにももったいないことです。

 皆のレビューや評価で話題になった番組を観てみると、実際に面白いものが多いです。体験したことのない人には想像もつかないでしょうが、はっきり言ってこれは革命的です。

–海外でも観られるんですか?

保田 海外でも観られますし、番組をスマホなどへダウンロードもできるので、地下鉄や飛行機などネットが遮断されるような場所でも視聴できます。ですから、海外のユーザーは多いです。

–タレントの伊集院光さんが本書の帯にもコメントを寄せていますが、どうしてこれまで家電メーカーは、「ガラポンTV」のような仕組みを考えられなかったのでしょうか?

保田 「ガラポンTV」はワンセグ放送を全録しています。家電メーカーが製作するテレビは、アナログからデジタルへと高精細になり、さらにはフルハイビジョンテレビの4倍の画素数「4K」や8倍の画素数「8K」といったスーパーハイビジョンへと高画質化の流れにあります。その勝負から降りて、画質を落として録画せざるを得ないようなものを売るなどという企画は通らないのではないでしょうか。

 家電メーカーは、3Dテレビや4Kテレビなど、1つの機能を毎年新しく付加して、各社足並みを揃えて販売しています。なんとなく、その機能がよいという雰囲気を市場につくろうとしているかのようです。

 また、仮に家電メーカーがそうした画質や新たな機能の勝負から降りて、弊社と同じようなサービスを展開しようと考えても、どのようなSNSをつくり、どうやって運営すればいいかという判断をすることは、すごく難しい問題です。SNSの流行は読めないですし、サイトの設計や運営の経験がない家電メーカーにしてみれば、まったく将来の計画が立てられないはずです。

 そのように先行き不透明な事業に社員や経費をつぎ込むようなことはしないです。予定調和的に、各社が同じような機能を持った製品を販売している限りは、大体の予想ができて、計画も立てられます。

BusinessJournal編集部

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