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鮫肌文殊と山名宏和、と林賢一の「だから直接聞いてみた」 for ビジネス

著者サイン入り中古本、高く買い取ってくれる?落書き扱い?ブックオフさんに聞いてみた

文=鮫肌文殊/放送作家
著者サイン入り中古本、高く買い取ってくれる?落書き扱い?ブックオフさんに聞いてみたの画像1ブックオフの店舗(「Wikipedia」より/わたらせみずほ)

 この連載企画『だから直接聞いてみた for ビジネス』では、知ってトクもしなければ、自慢もできない、だけど気になって眠れない、世にはびこる難問奇問(?)を、当事者である企業さんに直撃取材して解決します。今回は放送作家の鮫肌文殊氏が、著者サイン入り中古本の買い取りにまつわる疑問について迫ります。

【今回ご回答いただいた企業】
 ブックオフコーポレーション様

 昔、作家の室井佑月さんとイベントでご一緒した時に聞いたのだが、「著者のサイン入りで謹呈した著作を平気で古本屋に売る悪い人がいる」そうなのだ。しかも、室井さんの住んでいる家の近くの古本屋で発覚したらしい。サインと一緒に「○○様」と書いてあった箇所をご丁寧にもカッターで切り抜いていたという。なんて悪質ことをするのだ。

 私の趣味はアナログ・レコード集めなのだが、古いレコードにもよくサインが入っているものがある。そんな時には値段のところに「書き込みアリ」と注意書きがされているのが普通だ。そう、中古レコードにとっては、歌手のサインは「ただの落書き」扱いなのだ。どこから見ても全然売れなかったような無名のアイドルとかの7インチ・シングルのジャケットに書かれたファンの名前入りのサインは、なかなか哀しいものがあるし、落書き扱いされても仕方がないのはわかる。でも、けっこうな有名アイドルのサインまで扱いが同じなのが納得いかない。まあ、本当に本人のサインかどうか、何十年も前のアナログ・レコードでは確かめようがない、と中古レコード屋は言うだろうが。

 あるテレビ番組で「ビートルズのメンバーが書いたサイン入りのオリジナル・レコード」を「私のお宝です」と持ってきたゲストがいた。別になんとか鑑定団系の番組ではなかったのだが、念のため、ビートルズ研究家にゲストに内緒で鑑定してもらったところ「これは真っ赤なニセモノですね」とのこと。ニセモノとわかってしまったものを番組で出すわけにはいかないので、お宝を持参するコーナーごと事前にカットして収録しなかった。あのゲストの方はおそらく、今も自分の持ってるレコードはメンバーのホンモノのサインだと信じて疑っていないと思う。世の中には知らぬが仏のこともあるという話。

 そこで今回の疑問。ではこれ、中古本販売チェーン・ブックオフならどうなんだろう? 著者のサイン本をどう評価するのか? だから直接、ブックオフグループお客様窓口で聞いてみた。

「ブックオフは、著者サイン本を持ち込んだら高く買ってくれるのですか?」

担当者 はい。ブックオフとしては、(サイン本は)基本的に買い取りはしておりません。

–たまにサイン本が持ち込まれたりすることもあるのですか?

担当者 はい、他のお客様に関する情報は開示しておりませんので、ご案内することはできかねてしまうんですが、おそらく、そういうことはあるかと思います。

–ちなみに、サイン本を買い取らない理由はなんですか?

担当者 基本的には書き込みのある本というのは買い取りを行っていないので、サインもそういったものの一つになります。

–以前、線などが書き込まれた参考書がブックオフで売られていたのですが。

担当者 それは申し訳ございませんでした。

–そういう参考書みたいなものも本来、買い取らないということですよね?

担当者 そうですね、はい。

–僕が買ったラインが引いてあった参考書の場合は、恐らくラインを引いてあるページを買い取りの際に見逃してしまったのですよね?

担当者 その可能性もございますが、こちらでは回答はできかねますので、もしお客様へ説明が必要ということがございましたら、(その参考書を買った)店舗から折り返しご連絡させていただきたいと思います。このたびは本当に申し訳ございませんでした。

 あくまでも超低姿勢な担当者に、こちらまで恐縮しまくりであった。しかし、やはりブックオフも中古レコード屋と同じく、いくら著者のサイン入りの本でも「参考書のラインを引いた」本と同じ扱いにされてしまうらしい。一応、今まで何冊か著作本を出してきた立場から言わせてもらえば、「なんだかなあ」というのが正直な感想だ。本に書かれた著者のサインが、参考書の落書きと同様の扱いとはひどくないだろうか……。無名アイドルのレコードと同じ価値の駄本しか出していない私が怒っても、説得力ゼロなのだけれど、ちょっとカチンときた今回の疑問でありました。
(文=鮫肌文殊/放送作家)

鮫肌文殊

鮫肌文殊

1965年神戸生まれ。
高校二年の春、雑誌「ビックリハウス」の第17回エンピツ賞(小説)受賞を皮切りに、賞を総なめ。若干19歳で短編小説集「父しぼり」(長征社)を発表。NHK 特集への出演を機に中島らも氏の知己を得て、放送作家活動をスタートする。
1990年、松尾貴史の勧めで上京。現在に至る。
パンクバンド『捕虜収容所』のボーカルやDJでの音楽活動。テレビメディアに関するエッセイ等でも活躍中。

Twitter:@samehada19

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