ビジネスジャーナル > 企業ニュース > スカイマーク誤算で赤字と撤退  > 2ページ目
NEW

スカイマークの誤算~競争激化で赤字転落、相次ぐ路線撤退と就航延期、ミニスカ制服不発

【この記事のキーワード】, ,

●相次ぐ就航延期と路線撤退

 同社の見込み違いは、グリーンシートだけではない。A330の羽田-福岡線就航はもともと3月だったが、それを4月18日に延期したのも束の間、整備規定の不備が明らかになり、5月31日に再延期する事態となった。

 同社は今年1月末、14年3月期としては2度目の業績見通し下方修正を発表した。同期決算の売上高予想は前期比微増の864億円だが、従来予想の911億円から47億円引き下げた。営業損益予想は20億円の赤字(前期は47億円の黒字)で、従来予想の23億円の黒字から一転、5期ぶりの赤字転落見通しになった。最終損益予想は10億円の赤字(前期は38億円の黒字)。こちらも従来予想20億円の黒字から5期ぶりの赤字転落見通しとなった。

 赤字要因の1つはコスト高。円安の影響で燃料費などのコストが大幅に増加しているが、これは業界全体に言えることであり、同社だけの悩みではない。

 それより深刻なのが競争激化だ。特に主力の成田路線が窮地に追い込まれている。12年からLCC(格安航空会社)3社が成田路線に相次いで就航し、スカイマークを下回る低運賃で同社利用客に攻勢をかけているからだ。このため、同社の成田路線は搭乗率も平均単価も悪化し、今年3月末で成田-旭川など5路線から撤退した。

●消耗戦脱出の切り札で痛手

 さらに、昨春の羽田発着枠拡大により各社が増便を打ち出したため、「ドル箱路線」と呼ばれている羽田路線が供給過剰気味になっている。業界関係者は「ドル箱路線はもとより、今や国内線の大半が消耗戦状態」という。

 スカイマークにとってA330は、この消耗戦から脱出するための切り札になっている。LCCは格安運賃で大手・中堅と戦うため座席数を最大にし、機内の快適性を犠牲にしているのに対して、スカイマークは大手の半額近い低運賃を堅持しつつ、大手のエコノミークラス以上の快適性を打ち出すことで、大手にもLCCにもない新たな優位性を獲得しようとしている。それだけにA330の就航再延期はかなりの痛手であり、ミニスカ制服着用の奇抜な宣伝も賞味期限切れになってしまう恐れがある。

 ミニスカ制服の話題で良くも悪くもスカイマークの認知度は高まっているが、それを実際の利用者増へいかに誘導していけるのか。苦労してつくった話題もそれだけで終われば、今年中に予定している最後の頼みの綱、国際線進出(成田-ニューヨーク線)も空振りに終わりかねない。

 同社はどこで誤算続きに終止符を打てるのか、今年はその正念場になりそうだ。
(文=福井晋/フリーライター)

BusinessJournal編集部

Business Journal

企業・業界・経済・IT・社会・政治・マネー・ヘルスライフ・キャリア・エンタメなど、さまざまな情報を独自の切り口で発信するニュースサイト

Twitter: @biz_journal

Facebook: @biz.journal.cyzo

Instagram: @businessjournal3

ニュースサイト「Business Journal」

スカイマークの誤算~競争激化で赤字転落、相次ぐ路線撤退と就航延期、ミニスカ制服不発のページです。ビジネスジャーナルは、企業、, , の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!