この増資は借入金の返済が目的だった。事業拡大に伴い膨れ上がった有利子負債の圧縮に努めてきたが、08年8月期末時点で、まだ468億円の借入金(連結ベース)が残っていた。
インデックスは増資により得た資金で、日本振興銀行とNISグループの株式を取得した。株式の相互持ち合いである。NISグループには子会社の東京テレビランドやテック・インデックスなどを売却しており、インデックスは日本振興銀行グループへの資金依存を強めていた。これ以降、インデックスは同行の融資先で形成される中小企業振興ネットワークに完全に組み込まれてしまうのである。
10年、日本振興銀行が民事再生手続き開始を申し立てたことを受けて、インデックスは同年9月10日、同行との取引内容を公表した。4億6000万円分の同行株式、4億円の劣後特約ローンの債権を有し、同行からの借入金は82億6100万円に上っていた。
これに先立つ同年7月16日、インデックスは日本振興銀行との株式の持ち合いによる資本提携を解消し、中小企業振興ネットワークから脱退すると表明した。同行が持つインデックス株式14万3500株についても「売却を依頼している」とした。さらに、同行傘下の消費者金融NISグループとの資本・業務提携も解消し、保有していたNISグループ株式1950万株(発行済み株式の7.93%)をすべて譲渡。インデックス社外取締役に就いていた大谷利興・NISグループ社長(当時)は、社外取締役を辞任した。
●証券業界に広がる疑問
日本振興銀行の経営破綻が表面化した時、証券業界ではこの時の第三者割当増資が取り沙汰された。落合アソシエイツがどこから30億円を引っ張ってきたのか、疑問が広がっていたからだ。落合アソシエイツは08年10月に資本金500万円で設立されたペーパーカンパニーである。落合個人に30億円の資金があれば、無理して第三者割当増資を行う必要はなかった。
そのため証券界には、落合アソシエイツが調達した30億円は日本振興銀行が出所で、中小企業振興ネットワークを経由して落合アソシエイツに渡った迂回融資だったのではないのかという見方が広まっていた。同ネットワークに加盟する企業の間を“振興マネー”が転々とした迂回融資の実態の解明が進むにつれて、インデックスの増資問題の真相も明らかになるだろう、と期待されたが、当時は結局うやむやのままに終わった。
落合アソシエイツは、建前としては落合の個人会社だが、仮に日本振興銀行からの迂回融資の受け皿だったとすると、インデックスの実質的な筆頭株主は日本振興銀行ということになる。
一時は「ネットベンチャーの優等生」と脚光を浴びたインデックスと、設立時は「中小企業振興の救世主」と期待が集まった日本振興銀行。その両社をめぐる不透明な取引の実態は、今後の捜査を通じて、さらに新たな関与者が明るみになる可能性も出てきている。
【インデックスの大株主構成】(10年2月28日時点)
※以下、社名:持ち株比率(%)
・落合アソシエイツ:25.0
・落合正美:9.9
・タカラトミー:4.4
・日本振興銀行:4.1
・NISグループ:4.1