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第一三共は当初、ランバクシー買収により同社を起点に新興国と欧米の後発品市場を取り込むシナリオを描いていた。ランバクシーはインドの工場で低コストで生産した後発薬を米国など世界市場で販売して成長してきたが、第一三共による買収が決まった直後から、インド主力4工場の品質管理問題に翻弄され続けた。
FDA(米食品医薬品局)がランバクシー製品の米国への禁輸措置を決めたため、ランバクシーの株価は大暴落した結果、買収半年で第一三共は3595億円の評価損を計上する事態に陥った。ランバクシーも米政府に500億円の和解金を支払ったが、後発医薬品メーカーによる和解金としては過去最高額である。ランバクシー買収は失敗に終わり、第一三共は新たな柱と期待された後発薬事業で挫折。新興国への進出計画の大幅な修正を強いられることとなった。
第一三共は三共と第一製薬が経営統合して05年に発足した会社だが、ランバクシーの買収は初代社長で三共出身の庄田隆・現会長が主導し、第一製薬出身の中山・現社長は猛反対したといわれており、社内での反対論を押し切って買収に踏み切った庄田会長の引責辞任は避けられないとの見方が強い。社内では旧第一製薬の勢いが増しているが、合併前の旧社間抗争の種をランバクシー買収の失敗が宿したといえる。
海外の大手製薬勢による合従連衡の動きが激化する中、蚊帳の外に置かれた格好となった日本勢は、今後、世界市場においてさらに厳しい戦いを強いられる。
(文=編集部)
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