「淡麗ブランドは、お客様の間でビール以外のカテゴリーでは“一番ビールらしい”と知覚されているので、長年淡麗をご愛飲いただいているお客様にも満足していただけるように、このブランドにこだわり、『淡麗』『淡麗グリーンラベル』に次ぐ三男坊として開発しました」(福島氏)
淡麗プラチナダブルは、キリンの特許技術「プリン体カット製法」により、旨味を残したままプリン体をカットした。機能を担保しながらも、“オフ系はおいしくない”という消費者の固定観念を覆す商品開発に着手したのだ。
淡麗プラチナダブルはパッケージを見れば明らかだが、「プリン体0.00」「糖質0」と表示されているものの、あえて機能性を前面に出していない。酒類に限らず、そもそも機能性という商品特性は間口が狭く、しかも一過性のブームで終わりかねないというリスクが内在しているからだ。
福島氏は「機能性発泡酒の市場はまだ小さいですが、この淡麗プラチナダブルを新しい付加価値を持ったスタンダードとして、さらに発展させていければ」と展望を語る。
当面の焦点は、上方修正した年間販売目標の240万ケースに対して、実際の売れ行きが今後どのように推移していくのか、というところだ。
●次の一手は?
まだまだ先の話になるが、淡麗シリーズの4番目には、どのようなコンセプトの商品が誕生するのだろうか。ゼロ・ゼロの次には、別の機能性を持たせるなど、新たなコンセプトで開発が進むのだろうか?
福島氏は、「具体的な開発には至っていませんが、糖質とプリン体以外の機能性の探索もあり得ますし、新たな健康素材を配合する可能性も否定できません」と、あらゆる可能性を探りつつ新商品開発を進めることを示唆した。
来年4月には食品機能性表示制度がスタートし、一定の要件のもとに、機能性と身体の部位との親和性を表示できるようになる見通しだ。酒類の場合、この制度にはなじみにくいと考えられてきたが、機能性が飲料の商品価値を左右するトレンドが形成されれば、機能性発泡酒にも新たな開発テーマが発生し得る。
そうなれば、想定を覆すような発泡酒が登場するかもしれない。
(文=編集部)