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高井尚之が読み解く“人気商品”の舞台裏(11月20日)

カルディ、人気の秘密 独自サービスが起爆剤、女性&現場本位の店舗活性化で顧客引き寄せ

文=高井尚之/経済ジャーナリスト
カルディ、人気の秘密 独自サービスが起爆剤、女性&現場本位の店舗活性化で顧客引き寄せの画像1カルディの店舗(「Wikipedia」より/ARICA13)

「現象の裏にある本質を描く」をモットーに、「企業経営」「ビジネス現場とヒト」をテーマにした企画や著作も多数あるジャーナリスト・経営コンサルタントの高井尚之氏が、経営側だけでなく、商品の製作現場レベルの視点を織り交ぜて人気商品の裏側を解説する。

 コンビニエンスストアチェーン各社はカウンターコーヒーをめぐって激しく争い、カフェ業界ではサードウェーブコーヒーが注目を集めるなど、このところコーヒー市場は活気がある。2013年にはコーヒーの輸入総量が、史上初めて生豆換算で50万トンを突破した(全日本コーヒー協会「日本のコーヒー輸入量の推移」)。

 実は、1人当たりが飲むコーヒー総量の「平均週11杯弱」(同/調査対象:中学生から79歳)のうち、約64%が自宅で飲まれる。次いで多いのは職場や学校の約24%だ。

●“うちカフェ”需要に応え、5年で店舗数が倍増

 そうした「うちカフェ」需要に応える代表的な店の一つとして「カルディコーヒーファーム」(株式会社キャメル珈琲)がある。北海道から沖縄まで全国各地に店舗があるので、利用経験のある人も多いだろう。最新の直営店舗数は341店(14年8月現在)と、5年前の161店(09年1月末)から倍増した。それに伴い売上高も急増し、13年8月期には694億円(同社単体)と07年8月期の215億円から3倍以上に拡大した。

 店の名前は、コーヒーを発見したといわれるエチオピアのヤギ飼い、カルディからとった。店内には、そのカルディ伝説がパネルで紹介されている。現在ではコーヒー豆よりも、ワインや輸入食品などを扱う食品小売店のイメージが強いが、出発はコーヒー豆を喫茶店に卸す焙煎業だった。

 1号店の開店は1986年で、東京・下高井戸駅前の小さな店だった。現在も同駅を降りた商店街に店はあるが、当初は昔ながらの下高井戸駅前市場にあった。この場所が象徴するように、店づくりでこだわったのは「市場っぽさ」――。手軽に商品へ手を伸ばせる雰囲気にしている。

 最近は、出店する場所や周辺の雰囲気に合わせて整然とした商品陳列も行うが、基本はボリューム感あふれる陳列が特徴だ。オリジナルのコーヒー豆も多数取り揃えている。

 現在の小売業に進出したのは、取引先から「コーヒー豆だけでなく、業務用パスタソースも欲しい」といった要望に応え、品揃えを増やしていった。当初は、パスタやホールコーンなどの業務用商品や、個包装したスパイスを中心に販売したという。

高井尚之/経済ジャーナリスト・経営コンサルタント

高井尚之/経済ジャーナリスト・経営コンサルタント

学生時代から在京スポーツ紙に連載を始める。卒業後、(株)日本実業出版社の編集者、花王(株)情報作成部・企画ライターを経て2004年から現職。出版社とメーカーでの組織人経験を生かし、大企業・中小企業の経営者や幹部の取材をし続ける。足で稼いだ企業事例の分析は、講演・セミナーでも好評を博す。近著に『20年続く人気カフェづくりの本』(プレジデント社)がある。これ以外に『なぜ、コメダ珈琲店はいつも行列なのか?』(同)、『「解」は己の中にあり』(講談社)など、著書多数。

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