新日本製鐵が、韓国のポスコに鋼材の生産技術を盗まれた事件では、ポスコの元社員が、その技術を中国の鉄鋼メーカーに売り渡していた。その社員は、裁判で「中国に渡したのは(ポスコの技術ではなく)新日鐵の技術」と証言した。
07年、ポスコが韓国で起こした裁判をきっかけに、盗用の事実が明らかになった。ポスコは、「同社の元社員が方向性電磁鋼板の技術を中国の鉄鋼メーカーに売り渡した」として提訴した。しかし、裁判で元社員は「渡したのは(ポスコの技術でなく)新日鐵の技術」と証言した。これを受け、新日鐵が調査して提訴に踏み切ったわけだ。
JR東海の葛西敬之会長は英紙フィナンシャルタイムズの取材に応じて、「中国の高速鉄道は安全性を軽視することで、限界まで速度を出している」と述べ、技術も「外国企業から盗用」と述べた。
葛西会長の発言に対して中国側は「われわれの技術は日本のような島国向けの技術と違う」と言い放った。「(米国などへの高速鉄道の売り込みで)競争になっているので、日本企業は感情的になっているのだろう」とも述べた。
川崎重工から供与を受けて新幹線「はやて」の技術を応用して、それより速い高速鉄道列車を作り、「自主開発」と称して海外に輸出する行為は、明らかに契約違反である。
川崎重工は米紙ウォール・ストリート・ジャーナルの取材に対し、中国が「自主開発」と主張して中国で運行している高速鉄道車両は、技術を供与した我々のものと瓜二つ。その上、それより速いものを作り海外に輸出し始めたことに不満を表明した。川崎重工によると「中国政府との契約で、供与した技術は中国国内だけでしか使用できず、その技術を応用して作った製品を輸出することはできないことになっている」。
中国鉄道部は「350kmの技術があるのに、なぜ250kmの技術を盗まなければならないのか」と盗用のうわさを一蹴した。「多数の特許を申請しており、完全に独自の知的財産権を持っている」と主張する。さらに、中国側は「技術供与を受ける際に巨額の特許料を支払っている。合法的な使用は“盗作”にはあたらない」と反論している。まさに、中国流の勝手な言い分である。
中国の北京-上海間で運行している中国版新幹線「和諧(わかい)号」について、「技術は日本やドイツから導入されたものがほとんど。安全性を無視して最高速度を設定した」と中国鉄道省の元幹部が中国紙に暴露した。中国の「独自技術」とする主張の信憑性は大きく揺らいでいる。