●インテグラルの狙い
佐山氏が一躍有名になったのは06年。阪急ホールディングスのアドバイザーとして、阪神電気鉄道株式を大量取得したM&Aコンサルティング、通称村上ファンドとの交渉に当たったからだ。
通産官僚出身の村上世彰氏が立ち上げた村上ファンドの面倒を全面的に見たのは、オリックスの宮内氏だった。一時、村上ファンドはオリックスの別働隊といわれた時期もあった。村上ファンドがオリックスの傘の下から離れて大勝負を仕掛けたのが、阪神電鉄株の買い占めである。06年4月29日時点で、阪神株の46.65%を手に入れていた。
買い占めた株数が多くなればなるほど、売り抜けようとした時の株価下落リスクが大きくなる。ところが、村上ファンドはセオリーに反して過半数近くまで買い集めた。関西の大手私鉄に保有株を買い取らせることを画策していたのだ。
単なる阪神株式の受け皿をつくるのではなく、戦後初となる私鉄同士の経営統合の秘策を練ったのがGCAだった。阪急電鉄と阪神電鉄の経営統合を考えていた。GCAは阪急HDの財務アドバイザーとして、村上ファンドが保有する阪神株の買い取り交渉に当たった。結局、阪神株は1株930円でTOB(株式公開買い付け)が成立した。村上ファンドは阪急HDのTOBに応じて保有株全株を1829億円で売却し、推計で400億円程度の売却益を得たとされる。
この村上ファンドとの攻防戦で、GCAは評判を落とした。阪神株価は村上ファンドが介入するまではずっと400円台に張りついていたが、930円で株式を取得した阪急は「高い買い物」をしたことになる。
「インテグラルがスカイマークの再生に乗り出した根底には、村上ファンドとの交渉の際に負った傷がある。スカイマークを再建させたという実績が欲しいのではないか」(金融業界関係者)
佐山氏は「同業(エアライン)の支援企業が絶対に必要とは考えていない」と話しており、航空関係企業をスポンサーに選ばない可能性もあるとの見方も存在する中、スポンサー選びをめぐる動きは予断を許さない状況が続く。
(文=編集部)