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そして今年4月に「つながる自動車保険」が発売される。この保険は、トヨタの「T-Connectナビ」からスマートフォンを通じて取得した車両運行情報に基づき、走行距離に応じた保険料を算出し、また安全運転に関するアドバイスを提供するといったサービスに特徴がある。
これらの自動車保険はあくまで「走行距離」がベースとなるため、いまだ詳細な運転行動データに基づいて保険料を算出するテレマティクス自動車保険は誕生していない。
今後、テレマティクス自動車保険の知識が広まれば、安全運転を心がけるドライバーからは「割高な保険料を払うのはご免だ」という声が上がるだろう。その声が高まった時、自動車保険のあり方が大きく変わるかもしれない。
しかし、業界関係者の多くは、「試行導入の動向を見極め、今後の普及が見込めるか否か、他社競争上必要なものかなどの検討が必要」と慎重な姿勢をみせている。その背景には、個人のリスクを精緻に反映させれば保険料が上がる契約者も出るほか、テレマティクス機材の導入コストが高いため、普及には低コスト化が求められるからだ。
さらに、プライバシーの問題もある。テレマティクスは、通信機能やGPS機能を備えた装置を各契約者の自動車に搭載することで、位置情報等の情報を取得し、「いつ、どこで、どのように運転されているか」を常に監視・記録するため、個人情報の管理という観点からも、なんらかの対応が必要となるだろう。将来的に日本でも自動車保険の主流となるか、ニッチな市場のまま廃れるのかは現時点で不明だが、安全運転支援システムが技術革新だとすれば、テレマティクスは損保業界にとって自動車保険そのものを大きく変えるイノベーションとなりそうだ。
(文=千葉優子/ライター)
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