過去の類似ケースとしては、2012年9月に発売された赤城乳業のアイス「ガリガリ君リッチ コーンポタージュ」がその珍しい味のためTwitterなどで話題が拡散し、発売わずか3日後に販売休止、半年後に再販売を開始した。04年に京都ブランドを掲げサントリーから発売されたペットボトル飲料「伊右衛門」も発売直後に売り場から姿を消し当時話題となったこともある。
購入不可となれば、より一層その商品が欲しくなるのが人間の心理であり、休止前に特別意識をしていない消費者でも再販後に目に止まれば「手に入りにくい人気商品」という先入観から手に取るケースも想定され、企業側も再販売のタイミングは重要視しているだろう。
本件についてハーゲンダッツジャパンの広報課に問い合わせると、次の回答が寄せられた。
「該当商品につきましては、現在各所調整中につきご質問にお答えすることができません。弊社のホームページに記載しております内容をご理解いただけると幸いです」
同社ホームページ上では主に「予想を大きく上回る売れ行き」「継続提供の困難性」「再販に向けての生産体制整備」という主旨のアナウンスを確認できる。しかし、現状を招いた具体的な理由は「予想以上に売れたこと」としか記載がなく、たとえば初回生産数や、生産ライン数についての詳細は不明。よって一部の消費者から冒頭の臆測が生まれてしまったのだろう。
●企業を悩ます初期在庫数問題
今回の一時販売休止について「炎上商法ではないと考えます」と語る、企業のマーケティングや生産体制に詳しいコンサルティング企業関係者は、初期在庫数を決める難しさについて次のように解説する。
「商品を開発し、管理運営を行うブランドマネージャー(ブラマネ)が売れ行きを予測できないことは、実はよくあること。特にマニアックな層をターゲットにした商品は初期在庫数を見誤るケースが少なくありません。ブラマネが自信を持って商品を生み出しても、営業部や販売部から『ヒット性なし』と強く出られると、社内の空気も一変し、不良在庫を抱える恐怖心から生産数を抑える場合もあります」
つまり、いざ蓋を開けると大ヒットしたが生産が追いつかないというケースは、しばしば起こり得る事態だという。