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税金投入の大手銀行で唯一返済できない新生 巨額赤字でめどすら立たず、社長は引責辞任か

文=編集部

巨額の赤字を抱える新生は返済見送り

 公的資金の返済が残る大手銀行は、新生のみとなった。新生は、日本長期信用銀行時代に注入された2169億円の公的資金完済が経営課題となっている。6月末の株主総会後、当麻茂樹社長が相談役に退き、工藤英之常務執行役員が社長に昇格する。この交代は、当麻氏の体調不良が理由とされたが、額面通り受け取る銀行関係者は少ない。「公的資金を返済できなかったため、詰め腹を切らされた」との見方で一致しているようだ。

 りそなHD、あおぞらの公的資金完済プランが見えてきた昨秋、金融庁は新生への圧力を強めた。返済の道筋を示せない同行に厳しい姿勢で検査に入り、抜本的な経営改革を促したのだ。

 公的資金は優先株を普通株に転換して回収するが、新生の場合は株価745円以上が条件となる。しかし、3月25日の終値は248円で、とても返済できる状況ではない。追い詰められた当麻社長は、辞めざるを得なかったというわけだ。

 新生が取り残された原因は、当麻氏が社長に就任する10年以前の業績不振にある。「プロ経営者」といわれた八城政基氏や、その後を継いだティエリー・ポルテ氏が社長だった時代、消費者金融などを相次いで買収したが、08年のリーマン・ショック後の金融危機で消費者金融の業績が軒並み悪化した。積極的なM&Aが裏目に出たかたちだ。

 新生は09年3月期の連結決算が1438億円、10年同期は1401億円の最終赤字に転落した。2年間で発生した2839億円の赤字は、公的資金の残高2169億円を優に上回っており、返済は難しい。工藤新社長にとっては、頭の痛い問題となるだろう。

地銀再編の受け皿に期待される、りそなHDとあおぞら

 公的資金を完済後、りそなHDとあおぞらは、どのような成長戦略を描くのだろうか。りそなHDは中期経営計画で、個人や中小・中堅企業向け取引を重視し、大企業取引や海外向け融資を拡大している3メガバンクとは一線を画す姿勢を見せた。

 あおぞらは、シニア層を中心とした個人や中小・中堅企業を主な顧客と位置づけ、不動産事業を柱とする考えだ。その上で、地域金融機関との連携を探る。

 金融庁が両行に期待しているのは、地方銀行再編の受け皿になることだ。あおぞらは10年以上にわたり、地域金融機関との連携強化に取り組んできた実績があり、今回も地銀との提携に意欲的だ。

 同行の馬場信輔社長は、「公的資金を全額返済しても、自己資本比率は10%以上ある。規模にもよるが、M&Aの余力は十分にある」と語る。

 りそなHDは「独自のビジネスモデルの構築」を標榜し、地銀再編の受け皿論議には一定の距離を置いてきた。地域金融機関との提携について、東和浩社長は「(業務面での協力が)どんどん進むということであれば、(資本提携を)まったく否定するものでない」と語るにとどめている。

 地銀の再編は待ったなしだ。公的資金の完済を終えるりそなHD、あおぞらはその台風の目となるだろう。
(文=編集部)

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