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「ダイヤモンド」vs「東洋経済」! 経済誌双璧比べ読み(6月第4週)

起業ブーム加熱! グノシーにコイニ―など新しい日本のITベンチャーが大集合

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立ち上げたものをどう続けるかが大変?(「Thinkstock」より)
毎日の仕事に忙殺されて雑誌を読む間もないビジネスマン必読! 2大週刊経済誌「週刊東洋経済」(東洋経済新報社)と「週刊ダイヤモンド」(ダイヤモンド社)の中から、今回は「東洋経済」の特集をピックアップし、最新の経済動向を紹介します。

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「週刊東洋経済 6/15号」の特集は『起業100のアイデア この国には起業家がもっと必要だ!!』だ。2010年ごろより、ソーシャル、スマートフォン、クラウドといった成長テーマのベンチャー企業の活躍が目立つようになった。「経済産業省の資料によると、主要ベンチャーキャピタル5社が投資し上位株主となっている新規企業は、約1400社。その雇用総数はおよそ14万人、総売上高は約6兆2000億円に達する。ただグーグルやアマゾンといったメガベンチャーを輩出している米国との差は大きい」。ベンチャー企業の優れたアイデア、脱常識の発想から学べることは多い、という特集だ。

 業種ごとに注目の起業家を紹介している。「金融」では、「スマホを決済端末に変えカード決済導入を簡単にした」コイニー。「教育」では、全国の生徒と同時対戦できる「タブレットを活用した教育システム」フレンズ。「情報/メディア」では「ニュースコンシェルジェ」グノシーといった具合だ。

 引き続き「クリエーター/求人」「メーカー/デバイス/テクノロジー」「ファッション/食」などと続くが、どうも、スマホのアプリ業者やネット上のアイデア企業ばかりで、「起業家」という言葉のズレ感がいなめない……。「若い起業家の間では、『社会問題を解決したい』『社会に貢献したい』と考える人が増えている/起業家のアイデアが新しい事業を生み、業界や企業の抱える問題を解決し、人々の生活をより豊かなものにしていく――」といった今特集の勇ましい宣伝文句とは対照的に小粒なのだ。

 というのも、現代の起業は、かつてより初期コストがかからなくなった。「ネットや通信のインフラが整い、以前より起業しやすくなった。それを受けて、少額の投資で起業を支援する動きも活発になっている。ネット業界は技術革新が相次ぎ」参入しやすいといった理由から、ソーシャル、スマホ、クラウドを活用した起業が増えているというわけだ。

 そのうえ、記事『事業会社がベンチャーに投資するワケ』にあるように、ヤフーはYJキャピタル、KDDIは運用規模50億円のオープンイノベーションファンド、NTTドコモは運用規模100億円のドコモ・イノベーションファンド、またグリーベンチャーズ、サイバーエージェント・ベンチャーズもある。「投資をする際に本業とのシナジーは考えない」事業会社もあるものの、本業に有利に働くように、アプリ開発などの起業を事業会社が支援しているという背景もある。東洋経済オンラインでも『起業ブーム再び! 今、“81世代”が面白い YJキャピタルCOO 小澤隆生氏に聞く』(http://toyokeizai.net/articles/-/14348)という記事がある。ヤフーのYJキャピタルの投資はすべてITで、小澤COOは、以前は「『76(ナナロク)世代』が中心でしたが、最近は『81(ハチイチ)世代』が面白い」と語っている。

「81世代は、今、31、32歳ぐらいですが、長い人では5年ぐらいビジネスをやっているので、練れています。27、28歳で起業して、3~4年サービスを運営したところで、今の好景気を迎えたという、すごく運がいい世代です。この世代がひとつのボリュームゾーン」だという。

 たしかに、小粒感は否めないが、日本に起業家はこれまで以上に必要で、ベンチャーキャピタルの投資が活発化しているのは事実。起業したい人は、今は起業のチャンスかもしれない。ただし、起業したくてもアイデアがない……という人は今特集の100のアイデアを参考にするとよいだろう……と思い、パラパラと特集をめくっていると、なっ、ないのだ。アイデア自体は64までしか紹介されていないのだ。残りの36のアイデアは、1ページに『まだまだある! アイデア光るベンチャー企業』として社名と事業内容が簡単にまとめられているだけなのだ。

 せめて東洋経済オンラインがあるのだから、「詳しくはそちらで」とか、タイトル自体を「起業100のアイデア」と大見得を切るのではなく、「起業64のアイデア」にすべきだったのではないか。

 新しいメディアを紹介しながら、雑誌作りは一昔前の編集の感覚……。編集のアイデアも、もっと絞ったほうがいいのでは?
(文=松井克明/CFP)

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