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経済財政、中期の道筋見えず=「25年黒字」後、数値目標欠く―政権弱体化が影・骨太方針〔潮流底流〕

記事提供元=時事通信社
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経済財政諮問会議・新しい資本主義実現会議の合同会議で発言する岸田文雄首相(右から3人目)=21日午後、首相官邸

 政府が21日に閣議決定した経済財政運営の基本指針「骨太の方針」は、デフレ完全脱却と「金利のある世界」到来を見据え、2030年度までの「経済・財政新生計画」を盛り込んだ。計画は初年度の25年度こそ、国と地方の基礎的財政収支(PB)を黒字化する従来目標を明示。だが、26年度以降の具体的な数値目標を欠き、物価上昇の下での成長と財政持続の道筋を示せたとは言い難い。

▽黒字化目標、3年ぶり明示

「金融環境も変化する中、財政に対する市場の信認を確保することが重要だ」。今月初め、岸田文雄首相は骨太方針の取りまとめに向けてこう強調。人口減少が本格化する30年度までの新生計画を策定する方針を示すとともに、25年度のPB黒字化目標の達成へ強い意欲を示した。

 これを受け、骨太方針では「25年度のPB黒字化を目指す」と3年ぶりに明示した。ただ、26年度以降については「成果を後戻りさせることなく、債務残高対GDP(国内総生産)比の安定的な引き下げを目指す」との決意表明止まり。そもそも25年度のPB黒字化目標の達成自体、「今後、大規模な補正予算を組めば難しい」(内閣府幹部)状況で、首相が訴える「経済・財政新生」はいきなりつまずく恐れもある。

▽大きなタマなく

 成長戦略を巡っては、社会保障などの持続のため、人口減少下でも実質GDP成長率1%超を安定的に確保していく必要性に言及。省力化投資への集中支援など、デジタルトランスフォーメーション(DX)による中堅・中小企業の生産性向上や女性・高齢者の労働参画拡大、リスキリング(学び直し)による労働者の能力向上や成長分野への移動を通じた潜在成長率の引き上げを掲げた。

 ただ、22年骨太方針の防衛力抜本強化、23年の異次元の少子化対策と比べると、今年は目玉となる政策が乏しい。ある経済官庁幹部は骨太方針の策定作業が本格化した5月初旬、「選挙がいつあるか分からない。今年の骨太には大きなタマが何もない」と、岸田政権の支持率低迷の影響を指摘。政府関係者も「各省のパーツを集めただけ。これでは『骨細の方針』だ」と自嘲気味に話した。

▽前例踏襲

 骨太の方針は、今年3月の日銀によるマイナス金利解除に触れて「金融政策は新しい段階に入った」と指摘した。今後、金利のある世界への移行に伴う利払い費の増加に備え、一段の財政健全化努力が求められるが、国民負担の増加につながる政策論議は封印された。

 予算総額が6兆円超に膨らんでいるガソリン補助金に関しては「早期の段階的な終了に向け出口を見据えた検討を行う」との表現にとどめた。防衛力強化を賄う税財源確保は「適当な時期に必要な法制上の措置を講ずる」と極めてあいまいだ。

 第一生命経済研究所の星野卓也主席エコノミストは「前例踏襲で、当初予算は絞っても補正予算に縛りがない状況も続いている」と指摘。一方で当初予算に計上される恒常的な経費が物価上昇によって「実質的に目減りしている」可能性があるとし、物価上昇に対応した予算編成の仕組みを検討する必要性を指摘した。(了)
(記事提供元=時事通信社)
(2024/06/21-17:55)

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