日銀は24日、金融政策決定会合を開き、政策金利である短期金利(無担保コール翌日物レート)の誘導目標を現行の「0.25%程度」から「0.5%程度」に引き上げることを決めた。2008年以来、約17年ぶりの水準となる。今年の春闘でも高水準の賃上げ継続が期待でき、賃金と物価がともに上昇する「好循環」が引き続き強まっていくと判断した。
声明文では「2%の『物価安定の目標』の持続的・安定的な実現という観点から、金融緩和の度合いを調整することが適切である」と説明。「(経済・物価の)見通しが実現していく確度は高まってきている」との見解を示した。
利上げを決めるのは昨年7月以来、半年ぶりで、同3月のマイナス金利政策解除から数えて3回目。トランプ米新政権の発足後、金融市場で大きな混乱が生じなかったことも、追加利上げを後押しした。
利上げには9人の政策委員のうち、8人が賛成、中村豊明審議委員は反対した。植田和男総裁は24日午後に記者会見し、決定内容を説明する。
日銀は同時に最新の景気予測「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」も公表。消費者物価指数(生鮮食品を除く)上昇率は、24年度は前年度比2.7%(昨年10月予想2.5%)、25年度は2.4%(同1.9%)、26年度は2.0%(同1.9%)と、前回リポートからそれぞれ上方修正した。コメの価格上昇や円安に伴う輸入物価の上振れを踏まえた。
その上で、見通し期間後半には、2%の物価目標と「おおむね整合的な水準で推移する」と分析。声明文では、経済・物価が見通しに沿って推移すれば「引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していく」とし、今後も利上げ路線を継続する姿勢を明確にした。
日銀は、民間金融機関向けの貸し出し増加支援策について、6月末で新規の貸し付けを終了することも決めた。
植田氏は昨年12月の前回会合後の会見で、追加利上げの判断には「もうワンノッチ(1段階)欲しい」と述べ、賃上げの勢いや米新政権の経済政策が内外の経済動向や金融市場に与える影響を見極める方針を示していた。
◇日銀のGDP・物価見通し
実質GDP 消費者物価指数
2024年度 0.5(0.6) 2.7(2.5)
25年度 1.1(1.1) 2.4(1.9)
26年度 1.0(1.0) 2.0(1.9)
(注)数値は前年度比増加率%、かっこ内は昨年10月時点の見通し、消費者物価指数は生鮮食品除く
◇日銀決定会合のポイント
一、短期金利の誘導目標を0.5%程度に引き上げ
一、経済・物価の見通しが実現していけば、引き続き政策金利を引き上げ
一、経済・物価見通しが実現していく確度は高まってきている
一、2024年度物価上昇率見通しを2.7%(昨年10月時点は2.5%)に上方修正
一、25年度物価上昇率見通しは2.4%(同1.9%)、26年度は2.0%(同1.9%)に上方修正
一、貸し出し増加支援策は25年6月末で新規貸し付けを終了
(了)
(記事提供元=時事通信社)
(2025/01/24-13:29)