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わずか3.8%の年収1000万、なぜ不幸になる?見え消費の罠、不安定で過酷な労働環境…

文=松井克明/CFP

 さらに、同じ世帯年収1000万円でも片働きでは税制改正の影響を受けるが、共働きでは改正の影響を受けない場合(所得税の累進税率や児童手当の差による)も多く、可処分所得は最大61万円もの差が生じる。今後は、共働きを推進する流れになるのではないかという(『Part1 国が照準を定めるプチ富裕層の財布』)。

 また、専業主婦の妻の見え消費に私立中学に通わせる子どもの教育費……。出ていく一方でお金が貯まらないために不幸になる。退職後の破綻危機に慌てないためにも、計画的なライフプランが必要だ(『Part2 止まらない消費に破綻必至の老後』)。

●労働環境も悪化する傾向

 そして、労働環境も悪化している。ただでさえ、管理職のポストは減少している上に、女性の社会進出を支援する政策もあって、女性の積極的な幹部登用で競争は激化。今後、国家戦略特区での労働環境の自由化で、労働時間が際限なく増える恐れもある。

 パワハラ、セクハラも日常的だ。有名外資系金融で働く慶応義塾大学卒の20代後半女性は、「ベースの給与以外は上司の査定によって上下するから、とにかく機嫌を取らなければいけないんです。そのせいか、パワハラやセクハラがひどくて、私はパニック障害になりました」と語る。また、ある顧客を接待する際に、上司から顧客の手をスカートの中に入れさせるように強要されたこともあるという。

「今も、こんなことってあるの!? と驚きました。でもこれで成り立っている世界なのか、こうすることでお金がもらえているのかと一瞬でも納得してしまい、後で自己嫌悪に陥りました」という彼女は、この春から、小売り系の事業会社に転職。年収も400万円ダウンするという(『Part4 職場環境激変で生き残り模索へ』)。

 国税庁の2012年版「民間給与実態統計調査」によると、給与所得者4556万人のうち、1000万円超の年収を得た人は172万人というから、全体の3.8%にすぎない「限られた人々」だ。

この「限られた人々」に朝日新聞社やダイヤモンド社という大手マスコミの正社員の人々も入っているのだろう。年収1000万円超の自分たちがいかに不幸か、というアピールをしようとしているのかもしれない。
(文=松井克明/CFP)

松井克明/CFP

松井克明/CFP

青森明の星短期大学 子ども福祉未来学科コミュニティ福祉専攻 准教授、行政書士・1級FP技能士/CFP

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